2011 Fiscal Year Annual Research Report
隕石ジルコンの同位体分析による太陽系年代学と惑星化学
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23840013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 毅 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (70614569)
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Keywords | ジルコン / 年代学 / ハフニウム同位体 / ジルコニウム同位体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,太陽系進化を明らかにする上で重要となる消滅核種を用いた初期太陽系年代決定法を確立することである.消滅核種を用いた初期太陽系年代決定法を確立するためには,太陽系初期に形成された隕石物質について,絶対年代を決定すると共に,消滅核種を用いた相対年代を決定し,相対年代測定法に絶対年代基準を与えることが必要となる.本研究では消滅核種ニオブ-92からジルコニウム-92への壊変を利用した相対年代測定法に絶対年代基準を与えようと試みた.具体的には,3つの異なる天体に由来する隕石試料について,ニオブ-ジルコニウム同位体測定を行うとともに,ウラン-鉛絶対年代分析を行うことにより,ニオブ-ジルコニウム相対年代スケールに絶対年代基準を与えようと試みた.その研究の第一段階として本年度では,3つの隕石試料(アングライトNWA 4590,ユークライト Agoult,玄武岩質隕石 Ibitira)について,高精度でニオブ-ジルコニウム同位体比を決定し,太陽系初期のニオブ-92/ニオブ-93の存在比が,10^-5のオーダーであることを明らかにした.また,3つの隕石試料が調和的な結果をもたらしたことから,太陽系初期においてニオブ-92は均質に分布していたことが分かった.これらの研究成果は,2012年の地球惑星科学連合大会,地球化学会,ゴールドシュミット国際会議にて報告された.また,現在国際学術雑誌に公表すべく,論文執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
隕石試料の絶対年代決定が順調に終了しており,また,ニオブージルコニウム同位体分析についても既に終了している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究で確立されたニオブ-ジルコニウム年代測定法を様々な隕石試料に適用していくことにより,太陽系初期の様々なイベントに時間的制約を与えていくことを目指す.
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