2011 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の薬物的機能賦活を利用した臍帯血細胞移植技術の改良
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23890090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 康生 京都大学, 医学研究科, 助教 (70605146)
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Keywords | 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
少子高齢化社会を迎えた我が国では成人に対する臍帯血移植の需要は増大の一途を辿っている。一方、臍帯血移植では細胞数が少ないことに起因する生着不全はしばしば致死的な転帰をとり、臨床上の大きな問題である。臍帯血移植技術の改良は医学的・社会的に解決しなければならない喫緊の課題である。間葉系幹細胞は移植時にドナー血液細胞の生着に寄与する細胞である。しかしながら臍帯血におけるその存在頻度は骨髄と比較すると少ない。我々は間葉系幹細胞研究の技術的蓄積を生かし、従来の方法より効率的に臍帯血から間葉系幹細胞を分離する方法を確立した。そして間葉系幹細胞の持つ造血支持能力は「培養増幅」(=細胞数を増やす)の後に、「薬物刺激」(=機能を向上する)を加えることで増幅されることを明らかにした。接着法を用いた標準的な間葉系幹細胞分離方法では浮遊細胞は培養早期に除去される。臍帯血細胞において、浮遊細胞を早期に除去せず培養を継続することで、より多くの接着細胞を得ることができ、間葉系幹細胞の分離・培養効率が約10倍となった。CD34陽性細胞(造血幹細胞・前駆細胞分画)と培養増幅・薬物刺激した間葉系幹細胞を共培養するとCD34陽性細胞より産生される血液細胞の数が増加した。また、培養増幅・薬物刺激した間葉系幹細胞をヒドロキシアパタイト・リン酸三カルシウムと混和し免疫不全マウスの皮下に移植すると、より多くの骨髄組織が誘導された。以上の結果は「効率的な間葉系幹細胞の分離」と「薬物刺激間葉系幹細胞の造血支持力の増強」の妥当性を示唆し、臍帯血移植時の生着不全の改善の基礎となる研究成果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間葉系幹細胞の分離・培養方法の改良、薬物刺激による間葉系幹細胞の機能賦活が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
臍帯血細胞と間葉系幹細胞の免疫不全マウスへの共移植を行う予定である。
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