2011 Fiscal Year Annual Research Report
強化型炭酸アパタイト骨置換材の細胞応答性と生体吸収性
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23890156
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松元 歌奈子 九州大学, 大学病院, 医員 (10614315)
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Keywords | 生体材料 / 炭酸アパタイト / 破骨細胞性吸収 / 骨置換 / 気孔率 / 強化 |
Research Abstract |
昨年度までに成功していたカルシウム塩導入法を利用した炭酸アパタイトブロックの高強度化を適用して、炭酸アパタイトブロックの強化を行った。優れた生体親和性と骨伝導性を持つ一方で破骨細胞性吸収を受けない焼結ハイドロキシアパタイトブロックと生体親和性・骨伝導性・生体吸収性を併せ持つ従来型炭酸アパタイトブロックを対照群として用い、強化型炭酸アパタイトブロックの生体吸収性の調査のために破骨細胞を用いた細胞実験を行った。TRAP染色にて破骨細胞の同定を行ったところ、焼結ハイドロキシアパタイト、従来型炭酸アパタイト、強化型炭酸アパタイトのすべての試料上で破骨細胞が認められた。また、走査型電子顕微鏡を用いて細胞形態および破骨細胞性吸収窩の観察を行ったところ、すべての試料上で破骨細胞の接着・伸展を認めたが、破骨細胞性吸収窩については焼結ハイドロキシアパタイトでは認められず、従来型炭酸アパタイトと強化型炭酸アパタイトでは認められた。破骨細胞性吸収窩の面積を測定したところ、強化型炭酸アパタイトでは従来型に比べてやや小さいものの、2試料間に有意差は認められなかった。この結果は、破骨細胞性吸収を示すセラミック材料の気孔率およびミクロサイズの気孔の減少によって破骨細胞性吸収の遅延が起こるとの過去の報告と同調するものの、従来型・強化型炭酸アパタイトの両群間の破骨細胞性吸収窩の面積に有意差がなかったことから、強化型炭酸アパタイトにおいても十分な破骨細胞性吸収とそれに続く骨置換が期待される。細胞実験の結果から、強化型炭酸アパタイトにおける破骨細胞性吸収の遅延を認めたため、動物実験の期間を当初の予定より長期に設定すべく、すでにラット頭蓋骨に試料を埋入し飼育を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で平成23年度に予定していた強化型炭酸アパタイトプロックについての破骨細胞を用いた骨置換性に関する検討では十分な結果が出ており、その結果から当初平成24年度に予定していたin vivoにおける強化型炭酸アパタイトの生体親和性・骨伝導性・生体吸収性に関する検討に着手した。一方、計画の若干の変更があうたために平成23年度に予定していた骨芽細胞を用いた細胞応答性に関する検討に関してはまだ着手できていないので、おおむね順調な進展とした。
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Strategy for Future Research Activity |
焼結ハイドロキシアパタイト・従来型炭酸アパタイト・強化型炭酸アパタイトを埋入したラットの飼育を引き続き行い、マイクロCTによる継続的な画像評価と組織学的評価を行う。また、動物実験を先行したために計画変更となり延期していた骨芽細胞を用いた細胞応答性に関する評価についても可及的速やかに開始する茅定である。
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