2011 Fiscal Year Annual Research Report
貧困を背景に持つ児童虐待に対する保健師の介入法の確立
Project/Area Number |
23890179
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
馬場 文 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助手 (40616207)
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Keywords | 児童虐待 / 貧困 / 保健師活動 |
Research Abstract |
全国の児童相談所に寄せられる児童虐待の相談件数は、毎年増加の一途をたどっており、依然として大きな社会問題である。保健師は、乳幼児に対する保健活動を通して児童虐待に遭遇することが多い。本研究では、児童虐待と貧困の関連性に着目し、"貧困家庭にみられた児童虐待事例"に対する保健活動を多数例分析し、貧困を背景に持つ児童虐待事例に対する保健師の介入法を構築することを目的としている。 平成23年度は、以下のことを実施した。 1.児童虐待事例を担当している市町村保健師8名に、半構成的面接(1名につき約1時間)を実施した。 2.1の面接内容は、調査対象者の保健師自らが担当した貧困を背景に持つ児童虐待事例1~2名について、(1)事例の概要(2)事例に関わった経過と具体的な支援内容を聴取した。 3.面接内容は録音し、逐語録を作成した。 4。逐語録を作成する過程において、調査対象者が語る行動や思いの全体像を把握し、分析テーマ設定の準備を行った。分析テーマとして着目したことは、家庭訪問などの方法で児童虐待事例に対して保健師が行う、生活に直結した継続的な支援内容とその実施過程である。 平成24年度は、23年度に得たデータから、貧困を背景に持つ児童虐待事例に関わる保健師の活動実態を質的に分析し、これらの事例に保健師が介入する方法について実践的理論構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のとおり、児童虐待事例を担当している市町村保健師に半構成的面接を実施し、これをもとに逐語録を作成し、調査のためのデータ収集を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に収集したデータから、平成24年度は質的分析を行う。分析方法は、木下康仁が開発した修正版グラウンデッドセオリーアプローチ(M-GTA)を用いる。分析結果の信頼性・妥当性の確保のためには、分析の過程でスーパーバイザーと内容を検討することが必要である。
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