2023 Fiscal Year Annual Research Report
Efficient green materials conversion by controllingdynamics of adsorbed molecules in phase boundary regions
Project/Area Number |
23H00313
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 美穂 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10372749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石元 孝佳 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (50543435)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | アンモニア合成 / ルテニウム触媒 / その場測定 / 変調励起分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な材料製造の実現には、再生可能な資源とエネルギーを用いて有用物質を高効率に変換するための触媒技術の開拓が不可欠である。現在、反応分子の活性化についての学理は構築されつつあるが、目的物質を高選択的に合成する明確な設計指針はいまだ存在しない。本研究では、燃料や化製品の製造に有用な水素化反応の触媒に注目し、触媒および担体の電子状態設計による反応分子の活性化に加え、相境界近傍における吸着分子のダイナミクスを制御することにより、反応中間体を高選択的に分離・輸送し、目的物質を効率的に合成するための触媒設計指針を獲得する。 本年度は、化学物質の原料や水素キャリアとなるアンモニアの合成触媒として用いられるRu/MgO表面でのアンモニア合成反応のメカニズムの解明を行った。これまでの研究では、速度論的な検討によりアンモニア合成の反応機構が調べられてきたが、実際の反応条件での触媒表面の分光観測は行われていない。そこで、本研究では、アンモニア合成反応が進行する条件で測定可能なIRシステムの構築とそれを使ったRu/MgO界面のその場測定を行った。 まず、拡散反射赤外フーリエ変換分光法(DRIFTS)と高感度測定法である変調励起分光法(MES)を組み合わせたMES-IRシステムを構築した。MES法をアンモニア合成反応に適応するのは本研究が世界で初めてである。さらに、Ru/MgO触媒に、 400°C、0.1 MPaで、H2 と N2 を混合した反応ガスを導入した状態でMES_IR測定を実施することより NH3 生成プロセスの直接観測に成功した。この測定により、N2解離が、Ru触媒上のオントップサイトでの N2 の垂直吸着状態 から、ブリッジサイトでの水平吸着状態への遷移を経て進行することが明確に示されるとともに、この吸着状態の円滑な変遷が低温での反応の進行において重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実際の合成条件における触媒表面の観察に成功し、反応メカニズムの解明に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Ru/MgO上での反応過程の観測に成功した。さらにアンモニア合成反応の効率を向上させるために、触媒の合金化や担体の修飾をおこなう。作製した触媒の活性を詳細に調べるともに、その場測定を行い触媒機構を解明する。得られた結果について量子化学計算を行い、反応活性を制御する因子の解明を行う。
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