2023 Fiscal Year Research-status Report
自然史系博物館におけるレファレンス機能の分析と新たな価値の創出に関する研究
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23K00968
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
金尾 滋史 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (70618321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 昌史 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 学芸員 (30649794)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自然史系博物館 / レファレンス / 質問 / 博物館機能 / 自然史情報 / 利用者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究開始初年度であったが、研究代表者が体調不良によって長期休養に入ったため、当初予定していた計画を十分に遂行することができなかった。そのような制限下で、2023年度は下記の項目を実施した。 1.全国各地の自然史系博物館ではどのようなレファレンスサービスを行っているのか:初期調査として、学芸員同士で交流のある国内13館での情報収集を行った。その結果、想定以上に、各館でのレファレンスの対応手段や集約の方法が異なっていることが明らかとなった。今後はより多くの館の情報を集め、分類を行う予定である。 2.滋賀県立琵琶湖博物館および大阪市立自然史博物館における年間のレファレンス対応の傾向と分析:滋賀県立琵琶湖博物館における2021年度および2022年度の質問コーナー対応および質問メールを整理した。2021年度の質問コーナーは805件、メールによる専門的な内容を含む質問は116件、2022年度の質問コーナーは1005件、メールによる専門的な内容を含む質問は127件であった。質問の50%以上は生物関係であり、これは他都道府県に比べ、県内に生物系の質問に対応できる機関が少ないという地理的条件が含まれていることが推察された。また、大阪市立自然史博物館に届いた過去20年分の質問メールの仕分け作業を行った。メールの保存形式が当初想定していたものよりも複雑であったため、その整形作業に想定よりも多くの時間がかかっている。今後は、両館の質問を統合・解析しやすくするよう入力の共通フォーマットを検討する。 3.これまで博物館に寄せられたレファレンス対応にどのような科学的知見が含まれており、発表されてきたのか?:博物館が発行している研究報告や紀要、地域の自然に関する雑誌、インターネット上の記事を調査し、文献情報を35件得た。また、琵琶湖博物館に届いた質問が起点となった研究成果について、2件の報文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は研究開始初年度ではあったが、研究代表者が体調不良によって長期休養に入ったため、当初予定を行っていた計画を十分に遂行することができていない。特に、各地へのヒアリング調査は長期休養により実施することができず、必要な情報の収集はインターネット上や電話などでの収集に限られた。 またデータ入力に関しても過去の膨大なデータの入力に関して研究補助を付けた作業が進行できなかったことと、入力を進めている作業についてはデータが想定以上に膨大であり、集約のための仕分け作業に時間を要している。 これらのことから2023年度に行うべきであった計画のうち、約20~30%程度の進捗状況と判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年6月より研究代表者が職場復帰をする予定となっており、2023年度に実施できていなかった各館へのヒアリング調査、入力作業を2024年度の計画を加味しながら実施する。 2023年度の調査によって少数の自然史系博物館間でもレファレンス対応やその集約方法に異なりが明らかになったため、博物館のホームページや年報などによって各館のレファレンスの状況について一定の整理・類型化を図るための作業を先行して行ない、その後にヒアリング調査を実施する。このほか、他館学芸員の協力を得て、訪問できない館についてはアンケートが実施できるよう、アンケートフォームの検討を行う。これらにより、遅れていた園館のレファレンスに関する情報収集について効率化を図る。 滋賀県立琵琶湖博物館と大阪市立自然史博物館における過去の質問についてはそれぞれ整理作業を行なっているが、保存形式の複雑化に対応できるよう、文字認識機能や機械学習も活用して整理を行う。また、現在、データの入力に際する共通フォーマットの検討を行っており、フォーマットが定まり次第、整理した内容の入力を開始する。 このほか、2024年度以降もレファレンス対応が基となって明らかになった自然史情報について、特に博物館が出版している研究紀要や地方の自然誌に関する雑誌、文献、新聞記事などを調査し、さらに各博物館の学芸員からへも情報提供を求めて、レファレンス対応から発展した科学的知見への情報を整理する。
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Causes of Carryover |
今年度は研究代表者の体調不良による長期休養で研究代表者(金尾)は必要な情報収集は行っていたが、その後の機器購入や調査(旅費)、謝礼の執行ができなかった。また、分担者(横川)については、初期の整理作業が膨大であったため、パソコンの物品購入などを見送った。研究代表者(金尾)は2024年6月に復帰をする予定であり、復帰以降に必要な機器購入を行い、また随時調査や入力作業を実施する予定のため、2023年度未執行分を次年度に使用する。
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