2023 Fiscal Year Research-status Report
クッキングメタボロミクスによる減塩食品の味覚最適化
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23K01994
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
浅野 友美 金城学院大学, 生活環境学部, 講師 (90637951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財津 桂 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30700546)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | クッキングメタボロミクス / かつお出汁 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、美味しさを科学的に可視化する手法として食品成分の網羅的解析技術である「クッキングメタボロミクス」が注目されている。本研究では、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析(PESI/MS/MS)を用いたクッキングメタボロミクスにより、減塩食品の美味しさを科学的に評価し、減塩食品における味覚最適化に科学的にアプローチすることを目指している。澄まし汁は、出汁の旨味と醤油の塩味の対比効果により、塩味のみに頼らない美味しさを有する料理である。このことから、令和5年度は、まずはクッキングメタボロミクスによるかつお出汁の成分プロファイルが可能かを検討した。 かつお出汁は花かつお・厚削り・本枯節・本枯節(血合い抜き)の4種とした。初めにPESI/MS/MS分析条件の最適化を行い、かつお出汁分析の予備検討を実施した。分析が可能であることを確認し、まずはかつお出汁4種の成分プロファイリングを行った。 各試料から65成分が検出された。得られた多変量データについて潜在構造投影判別分析(PLS-DA)を適用したところ、4種のかつお出汁はスコアプロット上で明確に群分離し、成分プロファイリングが可能であることが示された。かつお出汁で群分離に寄与した成分はアミノ酸、有機酸などで、特にうまみ成分として知られるイノシン酸、グルタミン酸、グアニル酸を含めたアミノ酸が成分プロファイリングに影響した。 次年度以降は澄まし汁の分析も行い、出汁の種類や醤油との組み合わせにより、どのように成分プロファイルが変化するかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クッキングメタボロミクスのための分析条件の最適化において、我々の研究グループで用いてきた従来の質量分析計のメソッドに新たなうまみ成分(イノシン酸とグアニル酸)を追加するため、この2成分の分析パラメーターの探索を行うことからスタートした。同時にかつお出汁の抽出条件の確認も行った。 かつお出汁の予備分析を行い、分析時の希釈倍率の検討等にも時間を要したため、本年度はかつお出汁4種の分析の実施のみとなった。 かつお出汁では良好に分析可能なことが示されたため、来年度は澄まし汁を実際に分析する。
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Strategy for Future Research Activity |
花かつお・厚削り・本枯節・本枯節(血合い抜き)の4種の出汁と、濃口醤油・薄口醤油・減塩醤油の3種を組み合わせて分濃度0.8%の澄まし汁を作成し、各澄まし汁の成分プロファイリングを実施する。また、官能評価も実施し、クッキングメタボロミクスによる客観的データと官能試験による主観的データの相関を評価し、味覚の最適化を行う。
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Causes of Carryover |
分析条件の最適化および試料の分析は、研究協力者の所属先に出向いて実施する予定であったが、凍結サンプルで分析可能であることが検証できたため冷凍便にて試料送付し研究協力者が分析することができた。このため、計上していた旅費の使用が抑えられた。また、澄まし汁の分析を実施予定であったが、少し予定が遅れたため、消耗品費の使用も予定より抑えられた。次年度以降、澄まし汁の分析を進めて行く。
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