2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K02127
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿知良 洋平 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00754722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 健 松本大学, 総合経営学部, 准教授 (50756765)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 平和学習 / ヒューマニズム / 転向 / 白樺 / 葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、先行研究整理と資料調査を行った。 先行研究は、転向研究とヒューマニズム研究を中心に、特に教育学とかかわる部分に限定して研究分担者と検討を行った。転向研究においては、東井義雄について研究の蓄積があり、論点の整理を行った。ヒューマニズム研究においては、戦後直後に、核兵器等の人類の危機を前にして、多様な立場で行われた座談会の論点の整理を行った。社会主義との関連、西洋と東洋という枠組み、科学・技術・道具とヒューマニズムとの関連、ナショナリズム・パトリオリズムとヒューマニズムとの関連などが論点になっていた。これらを当時の時代状況との関連で位置づけ、読み解く必要が課題化された。 資料調査は、白樺に呼応して、大正・昭和初期を生き抜いた青年たちに注目し、彼らの思考の内面を見つめる調査をした。戦時中に書かれたものを読み解く方法論について、特に社会教育学における先行研究を整理した。そうした方法論を踏まえて、1920年代、1930年代、終戦間近、戦後について、可能な限り、ありのままに彼らの苦悩を捉える方法を検討した。私たちはとりわけ、加担・沈黙か、抵抗かという二分法で、戦時中の人々の行動、ひいては社会教育学の主体論を捉えてきたのかもしれない。白樺の青年たちのなかにあった、苦悩、迷い、葛藤といった割り切れないものが持つ「創造性」について、今一度吟味してみる必要があることが見えてきたのが、2023年度における研究実績と言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戦時下の青年の苦しい悩みを見つめるために、想定以上の時間を要しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は資料の収集に力を入れたが、これらを見つめ、読む作業に十分な時間をかけるように進めていく。
|
Causes of Carryover |
航空運賃等の関係で旅費が若干節約できたため、次年度の資料読解のための書籍購入等に当てる。
|
Research Products
(1 results)