2023 Fiscal Year Research-status Report
地域の伝統文化・行事の世代間継承に資するコミュニティ・スクールの運用方法の開発
Project/Area Number |
23K02173
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
諏訪 英広 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80300440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯藤 定宗 玉川大学, 教育学部, 教授 (20325137)
田中 真秀 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 准教授 (50781530)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 地域の伝統文化・行事 / 継承・発展 / コミュニティ・スクール / 連携協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域の伝統文化・行事の世代間継承に資するコミュニティ・スクール(Community School,以下「CS」)の機能と役割を明らかにすることを目的として,複数のCS及び関係機関におけるインタビュー調査を実施した。 A市立B小学校のCS調査(校長・公民館長・コーディネータ)における主たる知見は,①児童一人一人の個性に応じた教育を展開するために,地域の多様な大人に関わる教育・学習活動を大切にしていること,②地域の伝統文化・行事である「●●踊り」を40年以上にわたり,継承してきており,郷土愛及び社会参画意識の醸成につながっていること,③地域の人材発掘と学校との接続において,コミュニティセンターの役割が大きく,そことの連携を通して,子ども達に有用な諸資源を提供できていることなどであった。 C市立D小学校のCS調査(校長)における主たる知見は,小中一貫教育カリキュラムを軸にCSと地域学校協働活動の一体的推進を図っていた。成功要因として,社会教育に造詣の深い校長のコミュニティリーダーシップ,地域学校協働活動推進員と地域連携担当教職員との効果的連携,学校―公民館や地域人材と効果的連携等が推察された。 C市立E小学校のCS調査(校長)における主たる知見は,CSと地域学校協働活動の一体的推進によって,伝統文化・行事の継承・復活が推進されており,特に,公民館や地域学校協働活動推進員(館長)の強力な支援及び校長のコミュニティリーダーシップ等が重要な推進要因となっていた。さらに,公民館は,伝統文化保存会の活動を「うまく」連動させながら,公民館としての機能を発揮させていた。 今後は,各事例の共通性と差異性等について詳細分析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響がほぼなくなり,予定されていた調査を順調に進めることができている。調査対象のコミュニティ・スクール(以下「CS」の選定は,文部科学省表彰等を参考にしているところであるが,調査候補CSは,豊富な実績と「それを適切に語ることができる人」を有しており,調査者が予想した以上の語り(データ)を得ることができている。その結果,新たな調査デザイン開発に結び付く可能性も高まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニティ・スクールの全国的増加と多様な実践事例の蓄積の中で,本科研課題に最適な事例をいかに取捨選択するのか,また,調査実施のための複数調査者体制をいかに確保するのかという課題がある。調査のための予算という資源は限られているため,調査体制と事例対象との日程調整を早期に行い,本科研課題遂行のための最適な条件整備を進める必要がある。また,2024年度は,定量的調査を計画しているところであり,そのための研究デザイン(目的,対象,方法,内容等)の開発を進める必要がある。
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Causes of Carryover |
調査対象コミュニティ・スクールの(以下「CS」)の候補は多くあったものの,調査実施体制(複数調査者)の整備がうまくいかず(調査候補CSの都合,調査者の訪問可能日等),予定よりも調査回数が減ることになった。その結果,予定していた予算(旅費)が余る形になった。以上が主たる理由である。 次年度は,前年度の課題解決のために,調査候補CSの都合と調査実施体制づくりとの調整をより早期かつ詳細に行い,確実な調査実施に繋げていきたい。このことでより適正な予算執行につながるものと考えている。また,次年度は,定量的調査を予定しているが,調査デザインの開発において,調査対象CS及び関係者をいかに設定するかが最重要ポイントとなる。これによって,大よその経費が決まってくる。比較的大きい予算があるため,相当程度予算をかけた調査を実施したいと考えている。
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