2023 Fiscal Year Research-status Report
教科横断的視点を踏まえたエネルギー概念の獲得を目指す学習プログラムの開発
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23K02795
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
板橋 夏樹 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (90733212)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エネルギー概念 / コンデンサー / 小学校理科 / 二次電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、まず、中学校の教科書(理科、社会、技術家庭科)に掲載された蓄電に関する題材、教材の分析を行った。具体的には、2023年時点で使用されている5社の中学校「理科」,4社の中学校「地理」,3社の中学校「技術家庭科」の各教科書を対象に小学校理科の教科書に掲載されている蓄電の扱いと比較分析した。その結果次の3つの知見を得ることができた。「(1)コンデンサーの名称が,「コンデンサー」「「コンデンサ」等と小・中学校の教科間で異なっていること。(2)小学校理科でコンデンサーが教材として扱われているが,中学校理科ではほとんど扱われておらず,教材としての系統性の位置づけとして乏しい状態にあること。(3)中学技術分野では,コンデンサーが蓄電や放出以外に電圧の安定や電気信号のノイズの除去等のための役割をもつ部品として紹介された上で多様な回路製作に用いられていること。」である。 次に、小学校理科で用いられているコンデンサーに代わり、二次電池の教材としての使用を想定し、小型で電気容量の小さい幾つかの二次電池(リチウムポリマー電池)を選定、入手し、その性能評価を行っている。さらに、本学の小学校教員養成課程に在籍する学生を対象に、蓄電及びエネルギーの保存に関する理解調査と、コンデンサーの社会における活用の理解と教材としての使用法の知識に関する調査を令和5年12月に行った。この結果は、今後データ処理を行った上で、論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度の研究計画としていた、以下の2点の進捗が遅れているためである。 まず、「本学の小学校教員養成課程に在籍する学生を対象とした蓄電及びエネルギーの保存に関する理解調査と、コンデンサーの社会における活用の理解と教材としての使用法の知識に関する調査」については、令和5年12月に実施することができた。しかし、その結果をまとめるための時間がなかなかとれずにいる。急ぎ、結果をとりまとめ、成果を報告できるようにしたい。 次に、「小学校理科の蓄電に関する教材・教具を入手し、その長所・短所を分析する。」ことについては、特に、小学校理科で活用されている10ファラド程度のコンデンサーに代わる二次電池として、現在注目されるリチウムイオン電池の活用を考えていた。しかし、電気容量の小さなリチウムイオン電池の一般での入手の困難さと、手回し発電機を用いたリチウムイオン電池の充電、充放電の可能回数等の技術的な問題点等が浮上した。この検証は令和6年度の研究目標ともつながるので、引き続き検証を進め、論文等にまとめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に積み残した研究と合わせ、研究計画書に記載したように、今年度は、主に以下の2つの研究を進める予定である。 まず、令和6年度から小学校教科書が改訂される。そこで、理科、社会、家庭教科書の新旧の教科書を比較分析し、蓄電に関わる記載内容や文章表現の相違を調べる。次に、さらに、前年度の研究を踏まえて、小学校第6学年の単元「電気とその利用」における蓄電に関する教材の開発を行う。昨年度に収集したリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等の二次電池の中から、教材として適切なものを選定し、蓄電の実験で使用できるか検討したい。これらの二次電池は、充電や放電のメカニズムがコンデンサーと異なるため、小学校で繰り返し活用できるかどうか、また、小学校理科で使用するLEDや電子メロディ等の省電力で作動する電気器具との相性を検証する必要がある。なお、この教材開発においては、携帯端末や自動車、ゼロエネルギー住宅等の社会生活で一般化している様々な蓄電について、エネルギー関連の書籍やその他資料を参考に、児童に身近なものとなるようにしたい。
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Causes of Carryover |
教材開発のために想定していた二次電池の額よりも、購入した二次電池の価格が安かったために、残額が生じた。令和6年度にこの額を教科書購入費用の一部に充てる予定である。
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