2023 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスに対するミトコンドリア翻訳停滞解消システムの役割
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23K05677
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
行木 信一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80302959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 淳史 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (30707633)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 翻訳停滞解消因子 / リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
「翻訳停滞」とは,翻訳中にリボソームがmRNA上で停滞して蛋白質合成が滞る状態を指す。ミトコンドリアの翻訳系には,2種類の翻訳停滞解消因子「C12orf65」および「ICT1」が必ず存在するが,長らくC12orf65とICT1の機能的差異については不明であった。我々は出芽酵母を用いた実験により,C12orf65が「リボソーム結合性抗生物質による翻訳停滞」の解消に必須であることを明らかにした。一方,予備的実験で,特定の欠損株が酸化ストレスに著しく感受性が高いことを発見した。 本研究の目的は,酵母において, 酸化ストレス下で生じるミトコンドリアの翻訳停滞状態を具体的に明らかにし,さらに,酸化ストレス下で翻訳停滞解消が不全な場合,ミトコンドリアおよび細胞にどのような応答が生じるかを調べることで,酸化ストレスに対するミトコンドリア翻訳停滞解消システムの役割を解明することである。 令和5年度は,分担者の所属が変更になり,それに伴う研究室の引っ越しのため,リボソームプロファイリング関連の実験ができなかった。そこで,本年度はミトコンドリア特性に対するフローサイトメトリー(Flow cytometry)解析を中心に行った。その結果,過酸化水素によるストレスに対し,野生株と比較して,翻訳停滞解消因子の欠損株のみ活性酸素種が増加していた。一方,予想外に,その欠損株での有意なアポトーシス誘導は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は,分担者の所属が変更になり,それに伴う研究室の引っ越しのため,リボソームプロファイリング関連の実験ができなかった。しかし,その分,Flow cytometry解析に力を入れ,この点では順調に結果を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では,リボソームプロファイリング関連のためのサンプル調製を開始し,次世代シーケンサーでの解析に進む予定である。また,令和5年度から引き続きミトコンドリア特性に対するFlow cytometry解析を行い,さらに蛍光顕微鏡観察によるミトコンドリアの形態観察を行う。
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Causes of Carryover |
令和5年度は,分担者の所属が変更になり,それに伴う研究室の引っ越しのため,リボソームプロファイリング関連の実験ができなかった。その関連の試薬関係の予算を令和6年度にまわし,実験をスタートする予定である。
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Research Products
(3 results)