2023 Fiscal Year Research-status Report
低分子PACAP受容体遮断薬の抗うつ・抗不安作用における分子・神経基盤の解明
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23K06162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早田 敦子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (70390812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 均 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (30240849)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | PACAP / ストレス / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、モデルマウスを用いて、PAC1低分子遮断薬が、単回投与により即効性で持続的な抗うつ・抗不安作用や記憶障害の改善を示すことを見出してきた。 本研究では、このPAC1低分子遮断薬が、うつ状態の脳の、領域・回路・細胞シグナル系の各階層において、どのような変化をもたらし改善作用を発揮するのか、薬理学的特性を明らかにすることで治療効果の機序解明を目指す。 令和5年度は、下記の結果を得た。 1)社会的敗北ストレスを負荷したマウスを用いて、特定の脳領域にPAC1低分子遮断薬を局所投与し、種々の行動試験を実施した。その結果、PAC1低分子遮断薬により、社会性行動には改善が認められなかったものの、即時的かつ持続的なうつ様行動の改善が認められることが明らかになった(未発表データ)。 2)同定したうつ様行動に関わるPAC1シグナルが存在する脳領域において、網羅的遺伝子発現解析を実施した。得られたデータに対してgene oncotology 解析を実施した結果、PAC1低分子遮断薬投与群では対照群と比較して、モノアミン系の神経伝達やスパイン形成に関連する遺伝子群の発現が減少していることが明らかになった(未発表データ) 3)アンジェルマン症候群などの神経発達症のモデルマウスにおいて、その長さの異常が報告されている神経細胞の情報出力領域、神経軸索起始部(AIS)について、そのAISの可塑性に着目し、PACAP欠損マウスでのAIS長および、ADHD治療薬であるアトモキセチン投与時における行動解析とAIS長の変化を検討した。その結果、PACAP欠損マウスでは第一次体性感覚野(S1)においてAIS長が有意に短縮していた。また、反復アトモキセチン投与は、PACAP欠損マウスの多動を改善すると共にS1でのAIS長の異常を改善することが明らかになった(Iwahashi et al., JPS, 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した研究により、うつ様行動に関わるPAC1シグナルが存在する脳領域を同定することができた。そのため、この脳領域において神経活動操作や投射経路を明らかにすることで、PACAP-PAC1シグナル遮断が、どのようにうつ状態からの改善させることができるのか、その治療効果の作用機序の一端を明らかにすることが可能になったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかになった脳領域を中心に、全脳イメージング、精神行動薬理学的解析や、神経活動操作、電気生理解析などの研究手法を用いることで、引き続き、ストレス負荷によりうつ状態を呈したマウスの脳におけるPACAP-PAC1シグナル遮断によるうつ状態からの改善効果を引き起こす作用機序を明らかにする。
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Causes of Carryover |
RNAシークエンス委託費が変更され安価になったこと、および実験が順調に進んだため物品費が計画よりも抑えられたことから次年度使用額が生じた。今後も実験計画にそって実験をすすめる予定であり、また現在、研究成果の積極的な発信のために、英語論文として発表すべく論文作成も並行して行っている。繰り越し分は、物品費や論文作成費、学会参加費・旅費などで使用する予定である。
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[Presentation] Oxytocin restores abnormal social behavior in a mouse model of 3q29 microdeletion.2023
Author(s)
Tomoya Takemoto, Kohei Kitagawa, Kazuki Nagayasu, Kaoru Seiriki, Atsuko Hayata-Takano, Atsushi Kasai, Yukio Ago, Kazuhiro Takuma, Daisuke Mori, Norio Ozaki, Ryota Hashimoto, Hitoshi Hashimoto, Takanobu Nakazawa
Organizer
SfN2023
Int'l Joint Research
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