2023 Fiscal Year Research-status Report
A large cross-disorder study of premorbid estimated intelligence and structural brain imaging in psychiatric disorders
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23K07001
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
松本 純弥 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神疾患病態研究部, 室長 (10635535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 健一郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神疾患病態研究部, 室長 (20362535) [Withdrawn]
長谷川 尚美 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神疾患病態研究部, リサーチフェロー (70865906)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 双極性障害 / うつ病 / 自閉スペクトラム症 / 神経画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は大脳皮質構造画像解析を実施した。統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、自閉スペクトラム障害症の4つの主要な精神疾患における大脳皮質厚・表面積の変化パターンを多施設大規模研究で検討し、5549人の被験者のMRI構造画像のFreeSurfer解析で各疾患群の大脳皮質厚・表面積の違いを、施設間差のハーモナイゼーション法にメタ解析を用いて実施した。その結果、統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害の3疾患で共通の大脳皮質厚菲薄化のパターンが見られ、統合失調症、大うつ病性障害、自閉スペクトラム症の3疾患で共通の大脳皮質表面積変化パターンが見られた。疾患横断的解析が精神疾患の病態や共通の症状の理解を進める助けとなる可能性が示唆された。ここまでの結果をMolecular Psychiatry誌に投稿し、受理された。令和6年度以降の研究の基盤になる重要な成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は多施設大規模データを用いて大脳皮質構造画像解析を実施した。統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、自閉スペクトラム障害症の主要な精神疾患において、5549人の被験者のMRI構造画像のFreeSurfer解析で、施設間差のハーモナイゼーション法にメタ解析を用いて、大脳皮質厚・表面積変化パターンの解析を実施した。その結果、大脳皮質厚が、統合失調症、双極性障害、うつ病では全体的に薄かった。一方、大脳皮質表面積では、統合失調症、うつ病で小さいものの、双極性障害ではそうではないことがわかった。これらのパターンの共通性を、各脳領域での健常者との差の統計量を全体で解析した結果、皮質厚パターンは統合失調症、双極性障害、うつ病で類似していて、自閉スペクトラム症では類似していないことがわかった。同じことを大脳皮質表面積で実施したところ、統合失調症、うつ病、自閉スペクトラム症で類似していて、双極性障害では類似していないことがわかった。遺伝的相関研究の報告では、統合失調症、双極性障害、うつ病は互いに相関があり、自閉スペクトラム症はうつ病や双極性障害との相関はそれほどではないため、皮質厚の類似パターンと似ていることになる。また、皮質厚と表面積は負の遺伝的相関を示すことも分かっていて、神経生物学的メカニズムも、前者は髄鞘形成、枝分かれ、刈り込みなどによって影響を受け、後者は、神経前駆細胞の増殖よって拡大するため、皮質厚・表面積パターンの違いが、遺伝学的・神経生物学的な脳病態の違いを反映している可能性が考えらた。このように、多施設共同研究に基づく疾患横断的な脳画像研究は、各精神疾患に共通する脳病態や症状の理解を進める助けとなる可能性が示唆された。以上の成果をMolecular Psychiatry誌に投稿し、受理された。令和6年度以降の研究の基盤になる重要な成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにデータを幅広く収集し、データクリーニングと画質のクオリティコントロールを進め、大脳皮質構造画像における症例対照研究の疾患横断的な比較を、症例数を増やして病前推定知能との関連解析への展開を目指す。さらに大脳白質微細構造画像との関連解析や、機能的コネクティビティの解析にもつなげていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響は少なくなってきたが、出席予定の学会が本年度もオンライン開催となり参加に係る旅費の支出がなくなった。購入する予定であった当該課題用に常設する解析用PCは、研究部内の既存の設備が使用可能であることが判明したため購入を見送ったことから物品費の執行が想定よりも少なかった。また、研究資料およびデータ整理・入力を依頼する予定であった研究補助アルバイト人員に適任者が見つからなかったため人件費の執行が抑えられたが、研究代表者および分担者にて行ったため研究遂行には全く問題はない。未使用額については、R6年度は解析するデータが増えることが予想されるため、そのデータチェックや整理を行う人員を複数人雇用する予定であることから確保する。また、データの増加に伴い、大容量データ処理が可能な計算機が必要となる見込みであるため機器の能力拡張のための資金とする。
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