2023 Fiscal Year Research-status Report
X-ray and carbon ion therapy, how do they promote tumor-specific CD8+ cells?
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23K07097
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
武島 嗣英 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員 (10360950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 豊 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40353461)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | X線治療 / 重粒子線治療 / がん特異的CTL / 免疫療法 / CD8+細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療の効果は、放射線による物理的DNAの切断による腫瘍細胞の死滅と、その後に引き起こる抗腫瘍免疫応答の結果であることが知られている。この研究の目的は、X線と重粒子線の免疫応答に関する基礎データを得て、両者の併用による免疫療法の最適化を図ることである。 本年度はまず、がん細胞株B16-OVAを用いて、X線と重粒子線の照射後の細胞生存率を測定した。そこから得られた10%生存率線量からRBE値2.2を得た。次に、B16-OVA担癌マウスにX線または炭素イオン線を照射し、腫瘍内でがん特異的キラーT細胞(CTL)が誘導されるかどうかを調べた。X線を10~30 Gy、炭素イオン線を5~15 Gy照射した後、腫瘍内リンパ球中のがん特異的CTL であるCD8+OVA-Tetramer+細胞数を測定した。その結果、両放射線とも照射後にCD8+OVA-Tetramer+細胞数増加は確認できたものの、その増加については放射線による違いも線量依存性も見られなかった。 さらに、X線と炭素イオン線の免疫応答について検討した。B16-OVA担癌マウスとCTLを除去したB16-OVA担癌マウスにそれぞれX線と炭素イオン線を照射し、腫瘍サイズを比較した。その結果、CTLの有無に関係なく、両放射線とも線量依存的に腫瘍増殖速度が抑制されたが、CTL無しマウスではCTL有りマウスに比べて腫瘍増殖速度が速かったことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
両放射線で治療後のがん特異的CTL産生数の違いが確認できずやや難渋しているが、CTL有り無しのマウスを使うことによって、両放射線の腫瘍増殖速度に違いが見られていることから、仮説通りに研究が進み全体としてはおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCTL有りとCTL無しマウスのデータを継続して測定し、腫瘍増殖速度の違いをRBEに換算し、X線と炭素イオン線での免疫依存性を比較する。また、担癌マウスをそれぞれの放射線治療と免疫治療を併用し、どちらの放射線が高い治療効果を示すかを見る予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は研究室に既存の試薬で賄えた部分もあり、当初予定よりも使用額が少なかった。次年度に昨年度未購入であるフローサイトメーター用試薬を購入する。
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