2023 Fiscal Year Research-status Report
老化細胞可視化モデルによる慢性閉塞性病態の解明とSenotherapyへの応用
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23K07660
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
和久井 大 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10773533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90468679)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / COPD / 細胞老化 / senotherapy |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は加齢によりその頻度が増加する老化関連呼吸器疾患である。喫煙暴露が主な原因であり、肺気腫と細気管支病変に起因する慢性進行性の気流閉塞を特徴とし、最終的には呼吸不全に至る予後不良な疾患である。COPD病態の進行においては細胞老化の亢進が重要な役割を果たすと考えられており、今回我々は老化細胞を標的とした抗老化治療(senotherapy)の有用性について検証した。 今回の研究において重要な実験ツールとなるp16発現老化細胞可視化・選択除去マウス(p16Ink4a-CreERT2-tdTomatoマウスとp16Ink4a-CreERT2-DTR-tdTomatoマウス)は東京大学医科学研究所より譲渡を受け、当研究室で順調に繁殖できている。計画の通り、本マウスにおけるp16発現細胞のタモキシフェン投与による可視化とジフテリアトキシンによる選択的除去を実施し再現できている。今後、喫煙暴露実験において最も老化が誘導される細胞種の同定や、老化細胞選択除去を実施した際の肺組織における遺伝子発現の評価を行なっていく方針としている。 培養細胞を用いたタバコ煙抽出液による細胞老化誘導実験ではsenotherapy候補物質の投与による細胞老化抑制を観察した。その機序の解明のために、現在RNA sequencingによる網羅的な遺伝子発現の変化を評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたp16発現老化細胞可視化・選択除去マウスは順調に当研究室に導入できている。我々が有力なsenotherapy候補物質として検証している物質Xによる細胞老化の抑制・COPD病態進展の抑制については、マウス実験においてその効果が確認できた。また、RNA sequencingによるKEGG pathway解析によりどのような遺伝子発現に変化が起きたのかについても評価が行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、最も老化が誘導される細胞種の同定や、老化細胞選択除去を実施した際の肺組織における遺伝子発現の評価を行なっていく。培養細胞を用いた実験系ではKEGG pathway解析で関連が深いことが示された遺伝子群を標的にノックダウン実験による老化抑制の検証を行なっていく。
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Causes of Carryover |
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