2023 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア膜透過性遷移をターゲットとした尿路結石予防法の開発
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23K08743
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 靖彦 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (90293430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (00595184)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
海野 怜 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40755683)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80551267)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 尿路結石形成 / cyclophilin D / ミトコンドリア / NIM811 / 結石モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは結石モデル動物を用いて、尿路結石形成の過程において腎尿細管細胞内のミトコンドリア傷害が重要な因子であると証明した。ミトコンドリア傷害は細胞が酸化ストレスなどの外的刺激を受けた際にミトコンドリア内のcyclophilin D (CypD)が活性化されることによって起こる。またミトコンドリア傷害を受けた細胞は細胞死を起こし、最終的に尿路結石形成へと至る。そこでCypDの活性化を抑制するcyclosporine A (CsA)をモデル動物に投与しミトコンドリア傷害や尿路結石形成が抑制されることを示した。 しかしCsAはCypD活性化阻害作用以外にカルシニューリン阻害作用も有しており、そのため免疫や中枢神経の機能に有害な影響を与える可能性がある。NIM811はN-methyl-4-isoleucine cyclosporinとして知られているCsAアナログであり、カルシニューリン阻害作用を有しないCypD活性化阻害薬である。 本研究では結石モデルラットを用いた。ラットをエチレングリコール(EG)自由飲水群とEG自由飲水+NIM811胃管投与群の2群に分けて評価した。2群間において尿路結石形成量に明らかかつ統計学的に優位な差を認めた (1.70% vs 0.17%)。EG自由飲水群では腎臓に多数の尿路結石形成を認めたが、NIM811を投与することによってその形成量は約10分の1にまで抑制された。また2群間の比較において、NIM811投与群は酸化ストレスの発生やミトコンドリア傷害も抑制されていた。 本研究は実験動物におけるものであるが、実験結果からCypDの活性化を抑制する薬剤は将来的に人の尿路結石を予防できる可能性があることが示されたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では(1)マウス腎尿細管細胞へのNIM811投与、(2)結石形成モデルラットへのNIM811投与、(3)NIM811の安全性の検証の3つの事案の検討を計画していた。現在のところは(2)の動物実験を行った。NIM811はCsAアナログであり、カルシニューリン阻害作用を有しないCypD活性化阻害薬である。カルシニューリン阻害作用を有しないためCsAのような免疫や中枢神経への影響はない。結石モデル動物においてNIM811による尿路結石形成抑制効果が証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)マウス腎尿細管細胞へのNIM811投与に関してはマウス腎尿細管細胞にシュウ酸カルシウム(COM)結晶を添加し細胞障害を発生させる。それらの細胞をNIM811投与群、非投与群の2群に分ける。COM添加後、30分後、1時間後、3時間後、12時間後の細胞を評価する。細胞内のミトコンドリアにTMRE (tetra-methylrhodamine ethyl esters)蛍光染色を行い、Flow cytometryにてミトコンドリア傷害を評価する。また酸化ストレスの評価のためSODのwestern blottingを行う。 ( 3)NIM811の安全性の検証に関しては血液・尿検査の結果を検証し有害事象の有無を確認する。観察可能な全ての事象において予期せぬ影響の有無を観察し安全性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に核酸分離システムの購入を予定していたが、結石モデル動物を用いた腎尿細管細胞の評価を行っており、よって未だ核酸分離システムの購入に至っておらず次年度使用額が生じました。
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