2023 Fiscal Year Research-status Report
Epigenome-based investigation of the mechanism of therapeutic resistance in refractory prostate cancer and its application to the therapy
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23K08789
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 悟 日本大学, 医学部, 教授 (50197141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 誠 日本大学, 医学部, 准教授 (10817224)
大日方 大亮 日本大学, 医学部, 准教授 (20624886)
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
藤原 恭子 日本大学, 歯学部, 准教授 (40595708)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アンドロゲン受容体 / OCT1 / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアンドロゲン受容体(AR)と連携する転写因子OCT1が標的とする遺伝子についての解析を行っている。以前の研究実績によりOCT1およびARの共通の標的遺伝子であるアニリンアクチン結合タンパク質(ANLN)が、特に難治性前立腺癌において高発現していることが判明しているが、今回、ホルモン感受性の早期前立腺癌組織におけるANLNの発現が、患者の予後の悪化を予測するバイオマーカーとしての可能性について検討した。結果、早期の前立腺癌症例においてANLNが発現している場合、その後進行性前立腺癌への移行の可能性が高いことを発見し、これによりOCT1が前立腺癌の臨床病期を問わず重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、Monash大学から提供された難治性前立腺癌患者由来のがん移植モデル(Patient Derived Xenograft: PDX)を用いて、ARとOCT1が最も重要視する標的遺伝子を特定する研究を行い、遺伝子Xを同定している。この遺伝子Xは前立腺癌の免疫応答に関与し、治療抵抗性に影響を与えていることが明らかになった。この研究成果の発見に加え、副次的な研究成果の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の臨床特性に関する研究や、対照群としての良性疾患である前立腺肥大症の手術例の治療成果、BRCA2異常を持つ治療関連神経内分泌前立腺癌に対する放射線とオラパリブ治療の長期的効果に関する報告、そしてアンドロゲン受容体シグナル経路に関する最新の情報を総合的にまとめたレビューが含まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、OCT1を抑制する化合物を投与したPDX検体を用いた網羅的解析を行う予定であった。しかし、研究の進行過程で、化合物を投与していないPDXにおけるOCT1ネットワークの詳細な解明を目指す方針への転換が必要とされた。この方針変更により、当初の計画に比べて進行に遅れが生じることとなったが、その過程で新たに得られた複数の重要な知見は、研究が有意義に進展していることを示すものであり、当初の遅れを補うに足る価値があると考えられる。したがって、これらの結果は、研究が順調に進んでいると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
既にOCT1を抑制する化合物をPDXに添加済みであり、今後の研究計画では、このPDX検体と化合物非投与のPDXにおけるOCT1ネットワークの違いを比較検討する予定である。加えて、遺伝的に均一性を持つ商用の前立腺癌細胞株に対し、実臨床で使用されている薬剤を長期間投与することで治療抵抗性モデルを構築し、このモデルにおいて上述の遺伝子が高発現するかどうかを検討し、その再現性を確認する計画である。
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Causes of Carryover |
消耗品および薬剤の購入費用を予想よりも低く抑えることができた。これは、PCを用いた研究結果の解析や臨床情報の収集に多くの時間を割いたため、消耗品自体の使用量が少なかったからである。この結果、本年度繰り越しとなった資金は、生化学検査や抗体の購入、細胞培養に関連する消耗品費用に充てることが可能となり、令和6年度の研究をより効率的に進めることができる。
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