2023 Fiscal Year Research-status Report
多層的ゲノム解析を用いた絨毛性腫瘍の悪性化因子同定による新規治療開発
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23K08864
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 薫 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (20571334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 友介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00725533)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 絨毛癌 / 次世代シーケンサー / 抗がん剤耐性 / PDXモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
①次世代シーケンサーを用いた絨毛癌組織(妊娠性絨毛癌8例、非妊娠性絨毛癌6例)の全ゲノム解析を施行した。この結果から、遺伝子変異の同定を試みた。それぞれ1例ずつ、飛び抜けて多い変異数を持つ例があったが、概ね遺伝子変異総数は少ないことがわかった。 ②胞状奇胎のうち自然寛解例7例と侵入奇胎続発例6例の新鮮凍結組織から採取したRNAを用いてmRNAシーケンスを行った。発現変動遺伝子の抽出とIPAソフトウェアで解析を行った。hCG高値とhCG低値でも差があるため、まずはhCGでhighとlowに分けてから、自然寛解群と侵入奇胎続発群で比較することとした。hCGlow群8例とhCGhigh群5例それぞれで自然寛解群と侵入奇胎続発群を比較し、共通して発現が低下していた遺伝子は71個、共通して発現が上昇していた遺伝子は210個あった。 ③MTX耐性絨毛癌細胞株(Jar)の作成を行った。Jar野生株とJarMTX耐性株から採取したRNAを用いてmRNAシーケンスを行った。MTX耐性株では野生株と比較してDHFR高発現となっていた。siRNAを用いてDHFR発現抑制を行ったが、MTX耐性は完全には解除されなかったため、DHFR以外の分子もMTX耐性に関わっていることが予測された。 ④妊娠性絨毛癌の手術検体があったため、患者由来移植モデルマウスの作成を行った。免疫不全マウスに生着し、3代目まで継代中できている。また、胎盤部トロホブラスト腫瘍であるPSTTの手術検体から、現在免疫不全マウスに患者組織を移植したばかりである。今後生着していくかを確認していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠性絨毛癌の肺摘出症例から組織を得ることができたため、妊娠性絨毛癌のPDXモデルを作成が進行している。さらにPSTTの組織も得ることができ、PDXモデルが成功すれば、世界で初めての妊娠性絨毛癌、PSTTのPDXモデルの樹立となる。また、絨毛癌細胞株を用いて次世代シーケンサーにて全エクソーム解析を行うことができた。解析が難しいが、データは収集できてきているため、引き続き解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠性絨毛癌のDNA抽出および全エクソーム解析をさらに進め、共通の遺伝子変異やコピー数変化を確認する予定。プロテオミクス解析、RNAシーケンス解析、miRNAシーケンス解析をあわせて行っていく予定。
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Causes of Carryover |
本年は動物実験には至らなかったが、次年度からは動物実験も合わせて行う予定であり、次年度に持ち越す予定である。
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