2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of target for the alcohol-based had rubs on risk stratification using antimicrobial usage
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23K09543
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 里和 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (30373400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒須 一見 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (80741967)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 手指衛生 / アルコール含有手指消毒剤 / 抗菌薬使用密度 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はパイロットデータの収集のため、調査票および研究参加手順の説明書を作成した。調査票は、施設全体として、MRSA分離率に関連しうる医療施設の背景(病床数、感染対策の人員配置、院内検査室の有無など)を問うものと、病棟ごとの診療背景(病床数、平均在院日数、看護必要度、主な診療科など)に加えて手指消毒剤携帯状況、手洗い専用シンク数などの手指衛生実施体制とアルコール含有手指消毒剤(alcohol-based hand rubbing;ABHR)の消費量、抗菌薬使用密度(antibiotic use density;AUD)を求めるものを作成した。また厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)の細菌検査部門の還元情報を得た上で、そのファイルも共有できるよう手順説明書を作成した。 次に、研究内容を簡潔に説明するフライヤーを作成し当該研究に協力できる医療機関としてJANISに検出菌情報を提供している施設を選択し、主に感染対策担当者にフライヤーとともに協力依頼書を送った。2024年2月から協力依頼を開始し、8施設に協力依頼を行い7施設から参加意思の返答を受け、5施設からはデータ提供を受けた。 今年度は、5施設46病棟のデータを提供を受け、データクリーニングののち、基礎的解析を実施した。ABHR消費量、AUDおよびMRSA分離率(JANIS細菌検査部門の還元情報からMRSA検出数/S. aureus検出数で算出)を軸として、それぞれの関係を確認した。ABHR消費量とMRSA分離率には相関が認められなかった一方、AUDとMRSA分離率との相関は認められ、本研究の仮説を支持する暫定的結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、パイロットデータが収集でき、その解析を進めている。ただし、想定よりもパイロットデータが多く、解析に時間を要する見込みであり、全国調査の開始が、当初予定していた2年目半ばよりもやや遅れる可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
パイロットデータの解析においてAUDとMRSA分離率との相関がみられたものの、予測よりも弱いものであった。その要因として抗菌薬の総量を使用したことが考えられた。今後追加データが回収された時点で多変量解析によるモデル構築を進めるが、その際にAUDとして用いる抗菌薬の種類を選定するステップを追加することとした。 また、パイロットデータ提供に協力した医療機関の担当者からはデータ収集に伴う負担の大きさが聞き取られており、全国調査に広げる際の項目の絞り込みを進める。絞り込みを進める際に、調査票の回答内容と実態との整合性を確認するため、複数の医療機関を訪問し、実地での調査も進める予定である。
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Causes of Carryover |
調査票の回収や入力については代行業者を使用する予定であったが、手順書を丁寧に作成したことにより、データの回収およびデータクリーニングを研究者自身で実施可能であった。また研究協力依頼のため、複数の医療機関を訪問する予定であったが、メールでの依頼のみで参加協力が得られたため、これらの費用を2年目の実地調査および、より効率的に解析するための解析ツール購入に充てることとした。
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