2023 Fiscal Year Research-status Report
社会統合政策としての間文化主義の可能性:ケベックとベルギーの間文化主義の比較研究
Project/Area Number |
23K11604
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荒木 隆人 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (50733127)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 間文化主義 / 社会統合 / 移民政策 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カナダのケベック州とベルギーの社会統合政策としての間文化主義を、それぞれに共通する理念の側面から比較することで、間文化主義の実現可能性を明らかにすることである。上記の目的は以下の過程を経て達成する予定である。(第一段階)ケベック州とベルギーのそれぞれの間文化主義に関する資料を読み込み、 両者に共通する間文化主義の理念である「多様性」(文化集団に対する尊重)と「統合」(文化集団間の対話を通じた統合)という特徴の予備的な検討を行う。(第二段階)ケベック州とベルギーの間文化主義の試みについて、それぞれの政策形成に関わる公的一次資料を公的機関や大学図書館等において調査する。さらに、それぞれの間文化主義の作成に携わった政治家や研究者に間文化主義の「多様性」と「統合」という理念に対する見解についての聞き取り調査を行う。(第三段階)以上で明らかになったケベック州とベルギーの間文化主義の試みにおいて、両国における間文化主義理念の相違(『多様性』と『統合』の程度)を明らかにする。以上の成果を学会等で発表し、論文として公表する予定である。本年度は本研究の第一段階と第二段階の一部を行った。詳細については以下の通りである。 1.ケベック州及びベルギーの間文化主義や社会統合についての予備的な検討を行うための資料を収集した。 2.9月にケベック州に行き、ケベック州の公立図書館や大学を訪れ、ケベック州の間文化主義に関する一次資料の収集や、研究者との意見交換を行った。 3.12月に刊行された『ケベックを知るための56章 第2版』(明石書店)に「政党政治の展開」及び「ケベック主権運動の変遷」を寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ケベック州とベルギーの間文化主義や社会統合についての資料を読み込み、 両者に共通する「多様性」と「統合」という理念についての予備的な検討を行う予定であったが、資料の読解と整理に予想以上の時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和六年度は、本年度に引き続き、ケベック州とベルギーの間文化主義や社会統合についての資料の収集と読解を行い、両者に共通する「多様性」と「統合」という理念についての予備的な検討を行う予定である。また、学会または研究会での報告に向けた準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、初年度にベルギーにも行き、ベルギーの間文化主義に関する公的一次資料を公的機関や大学図書館等において調査する予定であったが、研究の遅れからベルギーでの研究調査の実施を次年度以降に見送ったために、初年度の未使用額が生じた。このため、次年度は上記のベルギーの研究調査のための経費に未使用額を充てることとしたい。
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Research Products
(1 results)