2023 Fiscal Year Research-status Report
精緻なfMRI技術(プレシジョンfMRI)で成人期発達障害の発症機序を解明する
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23K11798
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
丹治 和世 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (20512619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板橋 貴史 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (70636943)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | fcMRI / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少量のデータを多くの被験者から測定する従来のfMRIとは対照的に、個々の被験者から大量の安静時機能結合fMRI(rsfcMRI)データを測定し、結果の信頼性と再現性を確保する手法(プレシジョンfMRI)を用い、個別性の強い発達障害症例の脳機能の特異性を個体レベルで評価することを目的としている。rsfcMRIは、安静時に生ずる自発的な脳活動の時間的な相関を指標として、脳部位間のネットワークによる機能連関を視覚化する手法である。初年度である2023年度には、予備研究として、rsfcMRIの再現性の検証と、視覚関連領野をマッピングするための課題の選定に取り組んだ。コントロールデータとして、定型発達者においてrsfcMRIおよび構造MRIのデータの蓄積と、レチノトピックマッピング、視覚野のローカライザータスクなどの機能画像の測定を実施した。rsfcMRIについては、先行研究(Laumannら2014)を参考に、既存の皮質アトラス(Schaefer's 400 cortical regions)に基づく脳領域区分間の相関行列間の相関を求め、数十分の測定で良好な再現性が得られることを確認した。レチノトピックマップについても、複数の方法で繰り返し測定を行い、良好な再現性をもって描出することができた。次に、すでに神経心理学的検査を施行し、観察可能な行動指標が明らかになっている発達性視覚失認症例1名において、2セッションのMRI測定を行った。本症例では、レチノトピックマップの被検者内での再現性は得られたものの、定型発達者とは大きく異なる結果であった。今後は発達障害症例におけるrsfcMRIの測定および解析を進め、先行研究で得られたような個体レベルの脳機能区分を個別症例において描出し、描出された脳機能区分が病態の理解に寄与するかを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発達性視覚失認症例のMRI測定後、体調不良を訴え、中止を申し出たため、実験の継続ができなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
顕著な神経心理学的異常を呈する症例をリクルートし、神経心理学的指標及び、プレシジョンfMRIの測定、解析を行う。
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Causes of Carryover |
定型発達における基礎データの測定に遅れが生じたため、解析の実施に関わる機器や書籍、消耗品などの購入を行わなかったたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)