2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of collision behavior and injury process of manual wheelchair users in collision with a car in a traffic accident
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23K11991
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
大賀 涼 科学警察研究所, 交通科学部, 室長 (50392262)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 車いす / 交通事故 / 傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
手動式車いすの実機を用いて交通事故の再現実験を行った。衝突条件は自動車の速度を10~30 km/hで変化させ、衝突角度を45度刻みで0度(追突)から180度(正面衝突)まで変化させた。 立位姿勢の歩行者に比べて着座姿勢の車いす乗員は、頭部位置が低くなる。そのため追突や側面衝突では、歩行者事故で一般的なボンネットへの上体の乗り上げが、車いす乗員では発生しなかった。特に追突では背もたれや介助者用のハンドルが車体に衝突したが、乗員は車体に衝突せず、上体が車両進行方向に押し出された。これに伴い、車いす頭部は慣性により後傾したため、頚椎捻挫の危険性があった。ただし頭部がボンネットに衝突しなかったため頭がい骨骨折の危険性は認められなかった。 正面衝突では車いす乗員が前のめりとなり、車体前面に体全体が張り付くような形態となった。そのため人体各部で打撲が発生すると考えられた。 車いすから路面への落下は、速度が高いと発生しており、低速では落下しない場合が散見された。低速衝突では車いすが横転せず、乗員も着座したままとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り実機による交通事故の再現実験を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験結果に基づきシミュレーションモデルを作成する。実験で再現することが困難な多様な衝突条件(衝突速度・衝突角度など)についてシミュレーション解析により検証する。これにより実験結果が一般的に適応可能かどうかを確認する。
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Causes of Carryover |
実験に用いた中古車両の損傷が少なかったため、再利用することで支出を抑えた。次年度も実験を継続し、損傷状況に応じて追加の車両購入を検討する。
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