2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of blow-up phenomena for nonlinear parabolic equations
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23K13005
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
ZHANPEISOV ERBOL 沖縄科学技術大学院大学, 幾何学的偏微分方程式ユニット, ポストドクトラルスカラー (70962653)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 拡散方程式 / 解の爆発の速さ / 放物型方程式 / 相似変換 / リュービル型定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は高階放物型方程式、分数冪拡散をもつ方程式、粘性ハミルトンヤコビ方程式を含む広範な放物型方程式に関する可解性の研究、時間分数冪方程式の解の局所・大域存在、また境界で退化する完全非線形楕円型・放物型方程式に関するリュービル型定理の研究を行なった。 解の可解性の研究では初期値に特異性を持つ場合の解の局所存在について調べた。特異な初期値に対する可解性の問題は、非線形放物型方程式の解の爆発後の延長可能性と関わりがあり近年活発に研究されている。本研究では従来比較原理や優核を用いる議論によって知られていた可解性の結果に関して、局所べゾフモレイ空間を導入して実解析的な手法で解を構成し、論文として受理・掲載をされた。しかしながら非線形項の指数が小さい場合に超関数を初期値とする可解性に関しては最適と思われる範囲までの結果を得ることができていなかった部分があり、別の手法で部分的な結果を得ている。この部分に関してはさらに今後の研究の中心として改良をしていく予定である。一方、上記局所べゾフモレイ空間を導入することで可解性を調べる方法に関しては、東京大学の岡優丞氏と共同で、時間分数冪放物型方程式に対しても拡張をすることができ、論文として発表し、現在査読中である。 また藤田型方程式を付合変化解、非凸領域、ソボレフ劣臨界で考える場合には、爆発の速さを調べる上で境界での爆発の有無が重要であることを過去に論文で発表している。そこで境界での解の振る舞いとその非存在に関する研究を沖縄科学技術大学院大学の柳青氏と行なったところ重要な進展が得られ、現在論文にまとめている。この結果は粘性解を用いることでより一般の完全非線形方程式に拡張をすることができ、今後の爆発解析に役立つものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主題である放物型方程式の可解性と爆発解析について、さまざまな困難点があり完全解決には至っていないが、深く関連する時間分数冪放物型方程式や、爆発解析において最重要であるリュービル型定理に関する研究が大きく進展したため、全体としては順調な進捗状況であると判断できる。 引き続き本課題を進めていけば、当初の想定以上の研究成果を得られると見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在進展している可解性に関する研究および爆発解析に関する研究をさらに発展させていく。 可解性に関しては、デルタ関数の異方向微分を初期値とするような解の存在が、藤田型方程式と呼ばれる2階の半線形放物型方程式に対して知られているが、一般のラドン測度の微分や同方向へのデルタ関数の微分を初期値とする可解性は2階の方程式であっても未解明な部分が多くある。そのため本研究ではまず藤田型方程式に対してより一般の初期値に対する可解性を示す。さらに研究が発展すれば、この結果を分数冪拡散方程式や高階方程式などへの拡張をしたいと考えている。また従来考えられてこなかった特殊な初期値を用いて有限時間で爆発する解が構成できる期待があるため、可解性の研究で得られた解と有限時間での爆発との関係についても研究を進めたいと考えている。 爆発解析において、藤田型方程式の爆発の速さを特定する手段はソボレフ劣臨界の場合はエネルギー評価・放物型正則性定理を用いる方法と、リュービル型定理を用いる方法がありどちらも長所短所がある。前者については近年局所エネルギーを用いた臨界ノルム爆発を示す画期的な論文が発表されており、本研究でも局所エネルギーを用いて、爆発の速さを決定する研究を引き続き行いたいと考える。また後者に関する研究も非常に重要であり、現在楕円型・放物型方程式に対するリュービル型定理を粘性解の枠組みで得ているが、本研究と爆発現象との関連についても調べる。さらには比較原理が成り立つ分数冪方程式に対しても同種のリュービル型定理が成立するかどうかに関しても引き続き研究を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
国内及び海外出張に行く予定であったが、諸事情により出張を行うことができず出張旅費が予定額を下回った。次年度に国内及び海外出張のために利用の予定である。
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