2023 Fiscal Year Research-status Report
Joint analysis of plant-plant interactions using field GWAS and RNA-Seq
Project/Area Number |
23K14270
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
佐藤 安弘 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10777949)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 植物間相互作用 / 生態ゲノミクス / 遺伝子発現解析 / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、独自に取得したモデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の遺伝子発現と表現型データを基にして、近傍個体を考慮したトランスクリプトームワイド関連解析(TWAS)を開発する。通常のTWASの方法に従って、遺伝子型から遺伝子発現までを1段階目、遺伝子発現から表現型までを2段階目とした2段階の解析を課題期間を通して実施する。 2023年度は本計画の初年度として遺伝子型から遺伝子発現までの1段階目の解析に着手した。まず、先行研究(Kamitani et al. 2019 Scientific Reports)に従って、野外栽培したシロイヌナズナ199野生系統における各遺伝子の発現レベルを定量し、発現している遺伝子を2万程度まで絞り込んだ(2年x2地点, 計2394個体, 21,712遺伝子)。次に、各遺伝子の発現レベルを応答変数としたNeighbor GWAS法(Sato et al. 2021 Heredity)によって遺伝分散を推定し、各遺伝子の発現に対する近傍個体間の寄与率を明らかにした。その結果、最近傍個体の影響を受けやすい遺伝子群として光応答に関与するものを、離れた個体の影響を受けやすい遺伝子群として防御応答に関与するものを、それぞれ検出した。さらに、自身と近傍個体の遺伝分散の推定値を用いることで、遺伝子発現に対する自身もしくは近傍個体の効果を正味の予測値に分割する方法を見出した。以上の結果から、遺伝子発現量を形質としたGWASの対象とすべき遺伝子群を同定し、表現型との関連を解析するための遺伝子発現の予測値を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、1段階目の遺伝子発現解析に着手した。計画の大きな見直しも無く、想定していた手法を用いて遺伝分散の推定や遺伝子の絞り込みを進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、遺伝子発現量を形質としたGWASの対象とすべき遺伝子群を同定し、表現型との関連を解析するための遺伝子発現の予測値を得た。これらの結果に基づき、次年度はGWASによる発現量的遺伝子座(eQTL)の同定と、2段階目の表現型解析に向けた手法の検討を進める。
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Causes of Carryover |
年度後半に研究代表者の異動が決定したため、長時間を要する計算を一時中断した。そのため、計算機使用料に伴う次年度使用額が生じた。次年度に繰り越した分はGWASなどの大規模計算を行うために計算機使用料に当てる予定である。
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