2023 Fiscal Year Research-status Report
発生期大脳におけるCAPN15基質の網羅的同定による小頭症発症メカニズムの解明
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23K14508
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
野口 あや 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (10836688)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カルパイン / ユビキチン / 脳神経系形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、発生期大脳におけるCAPN15 基質とそれを中心とした分子ネットワークを明らかにするために、発生期マウス大脳におけるCAPN15 基質の同定を目指した。最終的にはプロテオミクス解析による網羅的な基質同定を行う予定だが、まず、培養細胞系で同定した相互作用タンパク質について基質であるか否か検討した。 発生過程のプロテオームは大きく変動することから、CAPN15 の基質も発生に伴って変化すると予想された。そこで、ニューロン分化期からグリア分化期までに当たる胎生12日~18日の大脳について解析を行った。培養細胞系で同定したCAPN15相互作用タンパク質(基質候補)のうち、マウス大脳においても発現が認められた分子について、(1)野生型マウスとCapn15ノックアウトマウスにおける発現量、と(2)CAPN15活性依存的な断片の有無について調べ、CAPN15の基質となりうるか検討した。現在のところ、マウス発生期大脳におけるCAPN15基質の同定には至っていない。なお、神経幹細胞増幅期(~胎生12 日)については大脳の摘出が困難なため、上記の実験は行っていない。 また、マウスを用いた実験と並行して培養細胞系での実験も行った。主に、これまでの研究で上皮系細胞で基質として同定しているE-cadherinについてさらなる解析を進めた。その結果、CAPN15と共沈降したE-cadherinとβ-catenin (E-cadherinと複合体を形成)のユビキチン化を検出することに成功した。CAPN15によるE-cadherin切断に必要なユビキチン修飾を明らかにするため、E-cadherinとβ-cateninのE3をノックダウンしてE-cadherin切断への影響を検証している。 さらに、免疫染色によってCAPN15が細胞コロニーのエッジ部分やフィロポディアに強く発現している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CAPN15の精製ができないため、プロテオミクス解析による網羅的同定を行うことができず、目標としていた基質の同定に至っていない。 一方、当初計画に入れていなかった培養細胞系での実験では成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)マウス大脳ライセートを用いたプロテオミクス解析によってCAPN15相互作用タンパク質を同定し、大脳におけるCAPN15基質とそれを中心とした分子ネットワークを解明する。 (2)CAPN15の細胞内局在についてより詳細な検証を行う。この結果から基質候補の選定を行うことも検討する。
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Causes of Carryover |
学会参加の旅費が予定より安く抑えられたため未使用金が生じた。物価高によって次年度の旅費が予定より高額になると予想されるため、次年度の旅費として使用する。
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