2023 Fiscal Year Research-status Report
アグレッシブNK細胞白血病を支持する腫瘍微小環境および腫瘍支持機構の解明
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23K14629
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
宮竹 佑治 東海大学, 医学部, 特任助教 (30868881)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ANKL / 線維芽細胞 / 液性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はANKLにおいて腫瘍微小環境中の因子から腫瘍細胞の維持増殖を担う分子とその機序を明らかにしようとするものである。これまでの研究および予備データから線維芽細胞株NIH3T3との共培養によりin vitroでのANKL細胞の生存率が著しく上昇することを見出していた。 本研究ではまず様々な細胞とANKL細胞を共培養したところ、新たに血管内皮細胞との共培養でもANKL細胞の生存率が上昇する結果が得られたものの、最も顕著な効果を示したのは線維芽細胞との共培養であった。 次に、ANKL細胞の生存を支えている主な線維芽細胞株由来因子の同定に取り掛かった。まず計画書の通り、その因子が液性因子なのか細胞表面分子なのかを解明するため、線維芽細胞の培養上清の添加によるANKL細胞の生存率の変化を調べたところ、共培養と同程度の生存維持効果があることが判明した。この結果から、線維芽細胞によるANKL細胞の生存維持作用の大部分は液性因子が担っていることが示唆された。 さらに、それらの液性因子の大まかな性質を調べるため、線維芽細胞の培養上清を限外ろ過濃縮により分子量で分画したサンプルを添加した際のANKL細胞の生存率変化を測定した。その結果、ほとんどタンパク質が含まれていない分子量3k以下の分画でもANKL細胞生存維持作用の大部分を有していることが明らかとなった。これにより、線維芽細胞から放出された何らかの小分子化合物がANKL細胞の生存を維持していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、生存を維持する細胞種の同定や、液性因子が主に生存維持作用を担うことを明らかにしたため、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予想に反して、生存維持効果を有する候補因子がタンパク質ではなかったため、当初の予定にある分画などによる絞り込み後の通常の質量分析では対象の同定が困難である。そのため、小分子化合物を対象としたストラテジーを考えて進行する必要がある。 具体的な今後の方針としては、細胞由来の小分子化合物としては、ペプチドおよびアミノ酸、糖類、脂質、ミネラルや核酸などが挙げられるため、それらの因子を添加した培地、あるいは線維芽細胞培養上清からそれらの因子を除去したサンプルがANKL細胞の生存を支持するかを解析することで候補因子を絞り込むことを考えている。
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Causes of Carryover |
研究室主催者の所属機関変更が決定したことにより、研究室内の機器が他機関に移設されたことや、本研究担当者も同様に2024年度より所属機関が変更になる運びになったため、2023年度の後半に想定していた実験の実施が困難になったため次年度使用額が生じた。 変更後の所属機関において移設された機器を使用する実験のために次年度使用額を用いる計画である。なお、2023年度の後半には機器を用いずにできる安価な実験を先に進めることにより、持ち越された実験を実施するための時間を2024年度に確保している。
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