2023 Fiscal Year Research-status Report
膵がん微小環境のiRhom1/2バランス制御による抗腫瘍免疫の活性化
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23K14663
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
細沼 雅弘 昭和大学, 医学部, 講師 (20836457)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】膵がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬の有効性向上が大きな課題である。腫瘍細胞はADAM17の作用で可溶型NKG2Dリガンドを産生し、抗腫瘍免疫から逃避する。本研究では、ADAM17の切断特異性を制御するタンパク質iRhom1とiRhom2に着目し、iRhom1/2の発現制御により可溶型リガンド産生が調節され、抗腫瘍免疫が増強することを証明する。本研究の成果は、膵がんの新規がん免疫療法開発に繋がる発展性を有する。 【進捗状況】ヒト膵癌細胞株であるPanc-1における、膜上・可溶型NKG2Dリガンドの発現をELISAで評価するとMICBがドミナントに発現していた。iRhom1/2の過剰発現実験では、Panc-1培養上清中の可溶型MICBおよびPanc-1表面上のMICB発現をそれぞれELISA法、フローサイトメトリー法で評価したが膜型・可溶型MICBともに有意な変化は見られなかった。そこでsiRNAによるノックダウン実験を行ったところ、iRhom1およびiRhom2ノックダウン両者で可溶型MICBの産生低下を認めた。以上からADAM17を介したMICBの切断にはiRhom1/2の両者が寄与していることを明らかにした。しかしiRhom1/2ノックダウンによる可溶型MICBの減少効果はsiRNAコントロールと比較して2割程度と限定的であった。そこでiRhom分子に関して細胞内から細胞表面へ輸送を制御するFRMD8にタンパクに着目し、Panc-1細胞においてFRMD8ノックダウンの影響を検討したところ、可溶型MICBを約6割減少させることが判明した。そこでまずFRMD8ノックダウンによる表現型評価を行うこととして、CD8陽性T細胞との共培養実験を行ったところ、siRNAコントロール群と比較してT細胞による細胞障害性の増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたiRhom1/2ノックダウンによるMICB切断への影響が小さく、研究計画の変更を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Panc-1細胞株をおいてCRISPR/Cas9システムを用いたFRMD8遺伝子欠損細胞を作成しクローン単離を行う。FRMD8ノックアウトPanc-1細胞を用いてT細胞との共培養実験を行い、T細胞の細胞障害性に与える影響の評価を行う。 また免疫不全マウス(SCID/beige)を用いた異種細胞移植実験については、現在Panc-1を用いた条件検討を行ない既に腫瘍生着に成功しているため、ノックダウン細胞株を用いてin vivoでもT細胞の細胞障害性に同様の影響を与えるかどうかについて評価を行う。
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Causes of Carryover |
初年度の研究計画に修正を要したため、初年度に当初想定していた実験を次年度に繰越が必要となったため。
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Research Products
(9 results)