2023 Fiscal Year Research-status Report
Ferroptosis in Mesenchymal Stem Cell in Metastasis of pancreatic cancer
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23K15442
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大槻 雄士 藤田医科大学, がん医療研究センター, 特任助教 (10875412)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | フェロトーシス / 膵がん |
Outline of Annual Research Achievements |
グルタチオン (GSH) は細胞における活性酸素 (ROS) の上昇と過酸化脂質の異常な蓄積を防ぐことでフェロトーシスからがん細胞を保護する。そのため、GSH合成を促進するシスチン-グルタミン酸アンチポーターサブユニットxCTの阻害剤が抗がん剤として臨床で有用であることを申請者の所属研究室では示してきた。しかし、xCT阻害剤では抵抗性を示すがん細胞あるいは抵抗性を獲得するがん細胞が存在する。申請者は、血管拡張薬oxyfedrineが細胞内の解毒酵素であるAldehyde dehydrogenase (ALDHs)を阻害することを見出した。さらに、xCT阻害剤を併用することで、種々のがん細胞において協調的に4-HNEを蓄積させ、細胞死の誘導と腫瘍抑制をきたすことを発見した。さらに、腫瘍形成や転移に関してもフェロトーシスが関わっているとされていることに注目し、フェロトーシスを容易に誘導できるマウス膵がんモデル細胞を作成し、マウスモデルにて肝転移を創出し、フェロトーシス誘導と肝転移の関係性の検証をおこなっている。また、膵がんの進展・転移にnicheとしてMesenchymal Stem Cell(MSC)が深く関わっていることが近年報告されている(Cancer cell Int. 2021)。申請者らは過去にMSCからの関連シグナルがosteosarcoma細胞において腫瘍形成に影響を来すことを見出している(Oncogene 2010)。 以上から、難治性がんの代表である膵臓がんを対象にした本研究により、新規治療標的やフェロトーシス誘導治療の感受性を予測可能なバイオマーカーを同定することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標:マウス膵がん肝転移モデルの安定樹立と肝転移サンプルの回収 保有している膵がんモデルを用いて肝転移を安定的に発生させることが可能となった。また、今後RNA解析、タンパク解析などの様々な解析を行えるような細胞生存性を保てるような転移膵がん細胞回収の調整を行うことができた。それにより安定してviabilityを維持したまま細胞の回収を行うことに成功した。 また、それらの回収した細胞からのRNA抽出など一部サンプルの調整を行うことができた。 上記マウスモデルの安定化および細胞回収の中で、転移初期や転移後期など様々なフェーズでの転移を確認することもできており、転移フェーズごとの解析も可能となった。 MSCを同時に移植し、
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作成したマウスモデルを用いて採取したサンプルの解析を行う。 網羅的解析を行うことで、疾患治療標的となるような対象たんぱく、遺伝子などの検索を行う。 また、マウスモデルを用い、現在ある候補遺伝子Xがどのように、MSCの役割および抗酸化メカニズム関連遺伝子に関連するのかを解析していく。特に、強く関連するpathwayの特定を進めることで膵がん肝転移発生メカニズムの解明に近づける。 また、特定の遺伝子変異をマウス膵臓に導入すると、発育早期から膵がんが発生することが知られているが、このモデルマウスの膵臓において遺伝子Xを発現させた場合に、がんの進展においてどのような影響が表れるかを確認するために、可能であれば必要なマウスモデルの作成に取り組んでいきたいと考えており、このマウスの樹立を進めていくプランを検討中である。さらにもし、モデルマウスが樹立できた場合は、この膵がん組織の解析により、がんにおけるMSCの機能解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
一部解析に必要な試薬類が海外からの調達であり、昨今の海外市況の影響で購入できなかったため繰り越しとなった。しかしながら、その他の研究はスムーズに進んでおり、大きな遅れも生じておらず、2024年度のでの試薬類に購入後に解析を進めていくことが可能であり、プロジェクトの進行においては、特に大きな問題は生じえない。
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