2023 Fiscal Year Research-status Report
"Digital Biomarker-Informed 'Disability-Health Condition' Model for Mitigating Neurological Dysfunction."
Project/Area Number |
23K16630
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
華井 明子 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 特別研究員 (60826220)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 化学療法誘発性末梢神経障害 / 運動 / がん / 支持療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、がんサバイバーの就労時の苦痛と化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の影響に焦点を当てた。CIPNを持つがんサバイバーへの運動療法の効果を特定するため、系統的レビューおよびネットワークメタアナリシス(NMA)を実施し、2019年のレビューと2023年までに公開された無作為化比較試験(RCT)を含めた。12の研究(運動群n=540、対照群n=527)を分析し、すべてが高バイアスリスクと判断された。メタアナリシスではQOLの有意な改善とCIPN症状の改善が示され、NMAはバランスと筋力トレーニングの組み合わせがQOLスコアを有意に改善することを示唆した。運動介入はQOLとCIPN症状の改善に有益である可能性が示された。 歩行分析装置の選定過程で、複数の企業の装置を検討し、実際の病院内のロジスティクスを確認した。その結果、現行の研究プロトコルの遂行が困難であることが判明し、特に患者の移動やデータ収集プロセスに問題があることが認識された。これにより、研究プロトコルの見直しが行われた。 また、がんサバイバーが就労時に感じる苦痛や障害に関する分析では、CIPNの影響に加えて不安の影響が顕著であることが確認された。これらの知見を基に、今後の研究ではCIPNの具体的な影響を詳細に調べることが重要であると考えられる。さらに、AIを活用した解析手法の導入により、より精度の高いデータ解析が期待されている。 これらの結果を踏まえ、歩行分析装置および分析アルゴリズム、アウトカムの設定を見直し、より現実的で実行可能な研究計画へと修正を加えた。しかしながら、これらの修正が行われたため、現在に至るまでデータ収集の開始には至っていない。今後の研究においては、共同研究先とのさらなる交渉が必要であり、AIを活用した解析手法を取り入れることで、より精度の高いデータ解析が可能になることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主任研究者の異動により研究費執行や論文投稿、申請等が困難な時期が生じた。病院ロジスティクスおよび測定機器の評価を行なった。歩行測定機器のメーカー側の不具合により何度か検討を重ねることとなり、またロジシティクスを測定装置で計測可能なモダリティに合わせて再考する必要が生じたたため、時間がかかる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在歩行測定機器の会社と連携し、歩行分析に向けた研究プロトコールを開発している。また生体基盤モデルの構築により汎用性の高い歩行モデルの構築および化学療法誘発性末梢神経障害による症状推移との関連を明らかにすることも視野に入れ、解析計画を立てている。2024年度内には横断的な一時計測を実施し、実症状と歩行速度・足底角等のモダリティとの関連を解析していく。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関の異動に伴い、研究費執行、論文執筆、研究倫理審査等の手続きが困難な時期があったため、やむを得ず所属機関異動後にそれらを執行する予定に切り替えた。
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