2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of molecular mechanisms underlying "mugifumi" responses of barley and wheat and their applications
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23K19293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津釜 大侑 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10726061)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 麦踏み / 機械的ストレス / 転写因子 / トランスクリプトーム / オオムギ / コムギ / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
オオムギ品種'早生どり2号'とコムギ品種'春のあけぼの'を用いて麦踏みを行い、茎頂付近からの組織からRNAを抽出することを試みた。当初は、RNA保存液に当該組織を浸漬させた後に組織の磨砕とRNA抽出を行う予定であったが、操作上の利便性を鑑みて、当該組織を単離後即座に液体窒素に浸漬して凍結させて磨砕し、RNA抽出を行うことにした。2024年度の前半にはこの方法により抽出したRNAをRNAシークエンシング(RNA-Seq)に供し、データを得たいと考えている。 シロイヌナズナの機械的ストレス応答においては、CAMTAという転写因子と、グループI bZIP型転写因子が機能する。オオムギとコムギの参照ゲノム配列上の遺伝子の中からそれらに相同なものを特定し、先行研究で得られたオオムギ・コムギのRNA-Seqデータを用いて、それらの中で発現量が高いものを同定した。 当方で取得したシロイヌナズナのグループI bZIP転写因子遺伝子四重欠損変異体のRNA-Seqデータの整理・見直しを行った。これと当該変異体の表現型(ブラシ掛けによる機械的ストレスを受けると枯死する)を基に1報の論文を取りまとめ、投稿した。グループI bZIP転写因子の脱リン酸化と機能制御には2A型プロテインホスファターゼ(PP2A)のB''ファミリーB(制御)サブユニットが関与している可能性があり、シロイヌナズナのPP2A B''ファミリーBサブユニット遺伝子の多重欠損変異体を作出して表現型解析とRNA-Seqに供した。この結果、当該変異体の機械的ストレス応答は野生型と同等であるが、そのアブシシン酸(ストレス応答に関わる植物ホルモン)応答性は野生型よりも高いことが示唆された。これを基に1報の論文を取りまとめ、投稿した。「育種学研究」特集記事としてグループI bZIP転写因子の機能とその作物への応用可能性に関する記事を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施予定の解析は問題なく実施できる見込みであり、論文発表も2024年度中~2025年度前半に複数件行える見込みであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
麦踏みを受けたオオムギ・コムギの茎頂付近の組織のRNA-Seqデータの取得を2024年度前半には完了させ、データ解析と遺伝子機能解析に時間を割けるようにする。
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Causes of Carryover |
RNA抽出法を変更したことなどに伴い、必要な試薬・消耗品や器具に変更が生じ、次年度使用額が生じたが、額は小さいと言えると考えており、当初の計画に従い課題を遂行すべく助成金使用を進める予定である。
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