2020 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーミング・アーツによるダイバーシティ活性化と現実多様性受容の心理文化間研究
Project/Area Number |
20H01224
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
猪股 剛 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (90361386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 敬造 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 教授 (40135645)
川嵜 克哲 学習院大学, 文学部, 教授 (40243000)
田中 康裕 京都大学, 教育学研究科, 教授 (40338596)
唐澤 太輔 秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90609017)
石倉 敏明 秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90649310)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダイバーシティ活性化 / パフォーミング・アーツ / 共同体感覚 / 個別性 / 固有性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パフォーミング・アーツを通じた現実体験が持つダイバーシティの活性化を検討し、その際に国際的な調査研究を行う予定でいた。しかし、2020年度はコロナ下のため、それは実施できていない。また国内でも、いわゆる劇場におけるパフォーマンスは中止や延期が多く、予定していたものをすべて調査することはできなかった。 しかし、国内の研究調査でも、特に農耕狩猟採集にまつわるパフォーミング・アーツは従来通りの研究が行えた。具体的には、群馬県前橋市・渋川市などにおけるアートと農耕の調査、山形県鶴岡市とその周辺における狩猟採集文化とパフォーマンスの調査、富山県におけるもの作りと表現に関する調査、栃木県における農耕と音楽パフォーマンスの調査、バレエと身体と共同性の調査、東京都内で行われた女性の身体性に関するパフォーマンスや、VRやIRを使用した現実性を検討するパフォーマンスや、ヤングケアラーとその家族に関する啓発的なパフォーマンスなどの調査研究を行ってきた。ただし、今年度は量的な調査はやはりコロナ下においてさまざまな制約があったため、調査の多くはインタヴュー調査として実施してきている。 それらの成果の内一つは、ホロコーストを題材にしたパフォーマンスとダイバーシティ活性化を扱ったものであり、書籍『ホロコーストから届く声』として刊行された。また、画家である蓮沼昌宏氏の作品分析とインタヴュー調査を通じて、「つまずいて、ころんで、あるいて、またつまずいて、そこに物語が生まれる」という論考を蓮沼氏が編者を務めた著作に発表した。他に調査研究の中で行われた対談やインタヴューの一部はwebに公開している。「もの作りと表現」に関する調査と「音楽パフォーマンス」に関する調査と「バレエにおける身体と心』に関する調査は、それぞれyoutubeにおいて研究成果の一部として公にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり、2020年度はコロナ下のため、海外調査ができなかった。また国内でも、いわゆる劇場におけるパフォーマンスは中止や延期が多く、予定していたものをすべて調査することはできなかった。しかし、国内の研究調査でも、特に農耕狩猟採集にまつわるパフォーミング・アーツは従来通りの研究が行えたため、その領域の調査研究を優先的に行った。また年度の後半には東京都内においていくつかのパフォーマンスの調査も行うことができた。 以上のように、研究計画の実施順を変更してはいるものの、ここまでの研究は概ね順調に進んでいると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、2021年度のコロナの状況に左右される面はあるが、まず初夏には東北地方における祭礼と修験道にまつわるパフォーマンスとその地域共同体の関係を調査する予定である。また、自由に海外渡航ができるようになれば、8月にはヨーロッパの調査に赴く予定である。特に、文化事業としてパフォーマンスが認められ、それが社会形成において重要視されているドイツにおけるパフォーマンスとダイバーシティ活性化の関係について調査する。その際には、フランクフルトのモーザントルム劇場およびベルリンの多文化共生地域において調査を行う予定となっている。 また、2021年度の前半において、パフォーマンスを通じた病者や病者家族理解といったダイバーシティ活性化の取り組みについて調査してきたものを、論文及び講演会の形で公開する予定である。同時に、狩猟採集文化と農耕文化のそれぞれのパフォーマンスのあり方と、それぞれの文化的多様性の比較研究に関しては、2021度内に書籍を出版する予定である。また、西洋と東洋のパフォーマンスとダイバーシティと関係の比較についても、ユング心理学の理論を主軸として分析した書物を執筆中である。これも2021年度の公刊を目指しているが、コロナ下における調査の進捗状況によっては2022年度にずれ込む可能性もある。
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Remarks |
それぞれ調査研究に関わったパフォーマーとの対談となっている
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Research Products
(9 results)