2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Historical Research on Water Rights in Afro-Eurasian Arid and Semi-Arid Areas
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20H01305
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
井黒 忍 大谷大学, 文学部, 准教授 (20387971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和崎 聖日 中部大学, 人文学部, 講師 (10648794)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 教授 (30509378)
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30570197)
小川 道大 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (30712567)
熊倉 和歌子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (80613570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水利権 / 灌漑 / 水役人 / 水利碑刻 / ミーラーブ / 渠長 / 遊牧民 / 裁判記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、研究メンバーの知見を共有するとともに、比較の視座となる事項を選定することを目的として、比較水利史研究会を2度、オンラインにて開催した。1回目は、2020年10月17日に井黒忍が報告「中国北部地域(華北)の水利権に関する歴史学的考察」を行った後、水の管理に対する国家や地域社会、村落が果たした役割、特定の集団による水資源の占有の有無、水資源管理を担った組織や役人の形態、水利施設の維持管理に関する水利権者の責務などに関する議論を行った。 2回目は、2021年2月13日に熊倉和歌子が近代以前のエジプトの水利に関する状況について報告を行い、ナイル川の定期的な水位上昇を利用したベイスン灌漑の具体像や12-18世紀の水利関連資料について解説した。さらに水利に関わる各地域の資料の形態や内容、水利をめぐる在地と王権との関係、裁判記録の利用、ジスルと呼ばれる土手の形状、遊牧民と水利との関係などに関する議論を行った。 新型コロナウィルス流行のため、当初予定していた海外現地調査を実施することはできなかったが、オンラインでの研究会を開催することにより、(1)水資源の管理に対する地域社会と国家の関与のあり方、(2)水利施設の建設および維持管理の方法、(3)権利関係を記録する媒体の差異といった項目が、重要な論点となり得るという認識を共有することができた。これらの項目は、今後の地域間における比較を行うための基準となるものであり、初年度にこれらを整理できたことは十分な意義があったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス流行のため、当初予定していた中国華北地域における現地調査を断念せざるを得なかったが、オンラインでの研究会開催によって、研究メンバーの知見と問題の所在を共有することができ、さらに比較の視座となる重要な論点を抽出することができた。これは今後の研究課題推進のための基礎作業となるものであり、著実なスタートを切ることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新型コロナウィルスの流行状況に鑑みつつ、可能なかぎり当初の予定通りに海外現地調査の実施を推進する。ただし、依然として海外渡航に支障がある場合には、日本国内における歴史的水利施設の調査などを実施し、日本の事例との比較検討も視野に入れる。また、オンラインでの研究会を継続し、研究メンバーそれぞれの知見を共有してさらに比較の視座となる項目を抽出するとともに、メンバーの専門外となる地域や分野に関しては、日本国内の専門家や海外の研究者を招聘して、オンライン研究会にて報告・討論を行う予定である。
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Research Products
(12 results)