2020 Fiscal Year Annual Research Report
Whole-School Mental Health Screening and Intervention Focusing on Students' Strength
Project/Area Number |
20H01758
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯田 順子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90383463)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 希映 目白大学, 心理学部, 准教授 (90508045)
青山 郁子 都留文科大学, 文学部, 教授 (60586808)
伊藤 亜矢子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (50271614)
川崎 知己 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (60806058)
茅野 理恵 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60754356)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 子どもの強み / メンタルヘルススクリーニング / 学校全体支援モデル / ポジティブ心理学 / 学校心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1年目に行った研究及び研究成果は以下の通りである。 第1に,メンタルヘルススクリーニングで使用するソーシャル・エモーショナル・ヘルスサーベイ-中等教育版(SEHS‐S)の中学生における適用可能性を検討するため,関東圏の中学校2校に通う中学生668名に調査を実施し,信頼性・妥当性の検討を行った。分析の結果、Furlong et al.(2017)と同様の因子構造が確認され,高い内的一貫性が示された(α係数=.83―.92)。また,関連が予想される尺度との間に有意な相関が示され,併存的妥当性も支持された。メンタルヘルススクリーニングに用いるSEHS尺度について,小学生・高校生を対象とした標準化調査がこれまで進められてきたが(飯田他,2018;Iida et al., 2021),中学生を対象とした調査は未実施であった。今回,中学生版の標準化調査をスタートできたことは,小学校から高校までのSEHS尺度を整備する上で意義があると考える。 第2に,学校におけるストレスチェックやストレスマネジメント実践の実態把握のため,スクールカウンセラー(以下,SC)27名を対象とした予備調査を実施した。子どもの心身の健康状態を把握するためのアンケート及び子どものストレスマネジメント等の予防的対応の実施状況とSCの関与の状況が示された。また,学校における全員面接の実施状況,SC便りの発行状況,SCが心理教育を行う上での自信や課題が示された。文部科学省が示すSCの役割の中に,ストレスチェックの実施及びストレスマネジメント等の予防的対応が挙げられているが,この実態を調査した研究は少ない。予防的対応におけるSCの関与や自信,課題を明らかにすることは,今後の学校のメンタルヘルス対策を考える一助になると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症対策のため,教員・スクールカウンセラーの業務負担が高まっている状況があり,学校への調査依頼が行いにくい状況であった。そのため,小中高校生を対象とした標準化調査とスクールカウンセラーを対象としたストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応の実態調査を行う予定であったが,想定通り調査を行うことができなかった。現在少しずつ,学校と連携がとれる状況になってきたところであり,いくつかの学校で調査を実施することができ,スクールカウンセラーを対象とした調査も予備調査まで終えることができた。 研究実績の概要に示したように,メンタルヘルススクリーニングに用いる尺度開発は終わっており,今後は標準化調査に必要な人数を確保するため調査協力校を募り,標準化調査を完了させる予定である。また,スクールカウンセラーを対象とした調査においても,全国調査を実施する予定である。研究1年目に計画していた研究の遂行状況が遅れているため,「やや遅れている」と判断したが,研究2年目-3年目に位置付けていた「メンタルヘルススクリーニング(MHS)方法の確立」「MHSの結果のフィードバック方法の検討」について,標準化調査の調査協力校に対して,結果の一部のフィードバック,結果の活用方法に関するコンサルテーション,アンケート結果の見方に関する教員研修をすでに実施しており,一部着手している。以上のことから,当初の計画からは「やや遅れている」が,今後計画通り進めていくことが可能であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
小中高における標準化調査を進るため,各地の拠点となる協力者と連携し,標準化調査を進めていく予定である。また,学校全体メンタルヘルススクリーニング調査を説明するホームページを開設し,広く協力校を募ることを予定している。さらに,研究の遅れをカバーするために,生徒への個別のフィードバックのシステム開発を先行して行い,標準化調査の協力校と連携し,結果のフィードバックの試行的取組みを行う予定である。また,スクールカウンセラーを対象とした全国調査を進めるため,各地の拠点となる協力者と連携し,調査先の開拓を行う予定である。
|