2021 Fiscal Year Annual Research Report
渡瀬線に代わる海洋生物における新たな生物地理区境界線「大隅線」の検証
Project/Area Number |
20H03311
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 教授 (90433086)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 魚類 / 生物地理 / 分類 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は甑島列島、薩摩半島、鹿児島湾、大隅半島、大隅諸島の竹島、屋久島、種子島、および馬毛島、奄美群島の奄美大島、加計呂麻島、喜界島、および沖永良部島の魚類相調査を延べ100人で実施した。3000個体の魚類を採集し、各個体に固有の番号をつけ、博物館標本として登録するとともに、各個体の撮影、同定を行った。外部形態から同定が困難な個体については、DNA解析や内部形質を調べるためのX線写真に基づく正確な同定を行った。これらの調査成果を90本の論文にまとめ出版した。このうちの1本は大隅諸島の三島5島の魚類相の報告で、同島嶼初記録109種を含む541種の目録として出版した。また、上記論文の他に『薩摩半島沿岸の魚類』(A4版、フルカラー、329頁)を出版し、現地の方々や小中学校や図書館などの公共機関に無料配布した。また、魚類学の基礎的知見の蓄積を目的とし,日本産魚類の分類や分布,生態などの自然史に関するあらゆる分野の論文を和文で掲載する査読付きオンラインジャーナル『ICHTHY - Natural History of Fishes of Japan』を創刊し、2022年2月に12号をまとめた冊子(614頁)を出版、国内の公的機関に配布した。さらに、本研究課題である「大隅線」に関する現在まで得られた知見を本にまとめてSpringerから出版した。2021年度は23種を新種として発表、14種を日本初記録として報告し新しい標準和名を命名した。2020年に出版した『日本産魚類全種目録.これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』を毎日更新し、エクセルデータでHP上で公開している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍ではあるが、南九州から琉球列島にかけてのフィールド調査は順調に進んでいるため、本研究課題を解決するためのデータの蓄積状況は良い。しかし、黒潮源流にあたるフィリピンにおける調査や黒潮が横断するトカラ列島における調査ができておらず、これらの実施が来年度の最優先課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年4月からトカラ列島の渡島が可能になったため、2022年度はトカラ列島を中心にフィールド調査を行う。また、琉球列島からやや離れた位置にある草垣群島の調査を実施し、同群島の魚類相を明らかにする。
|
Research Products
(122 results)