2023 Fiscal Year Annual Research Report
渡瀬線に代わる海洋生物における新たな生物地理区境界線「大隅線」の検証
Project/Area Number |
20H03311
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 教授 (90433086)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 魚類 / 生物地理 / 分類 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は小笠原諸島、薩摩半島の西岸と南岸、鹿児島湾、大隅半島の東岸、大隅諸島の竹島、トカラ列島の平島、諏訪之瀬島、臥蛇島、小宝島、奄美群島の奄美大島、沖永良部島、沖縄島、八重山諸島の石垣島、西表島、与那国島の魚類相調査を延べ150人で実施した。8000個体の魚類を採集し、各個体に固有の番号をつけ、博物館標本として登録するとともに、各個体の撮影、同定を行った。外部形態から同定が困難な個体については、DNA解析や内部形質を調べるためのX線写真に基づく正確な同定を行った。これらの調査成果を52本の論文にまとめ出版した。また、マレーシア・トレンガヌ大学と共同調査を実施し、琉球列島と比較可能な東南アジアの魚類標本を収集した。 また、魚類学の基礎的知見の蓄積を目的とし,日本産魚類の分類や分布,生態などの自然史に関するあらゆる分野の論文を和文で掲載する査読付きオンライン ジャーナル『ICHTHY - Natural History of Fishes of Japan』を一昨年度創刊し、今年度も69論文を出版した。さらに、2022年度は12種を新種として発表、19種を日本初記録として報告し新しい標準和名を命名した。2020年に出版した『日本産魚類全種目録.これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』を毎日更新し、エクセルデータでHP上で公開している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で進んでいなかった海外フィールド調査をようやく実施することができ、2023年度の研究は概ね順調に進展した。国内の調査も予定より進んでいるが、分類学的に問題がある種については、欧米博物館を訪問してタイプ標本を調べることによって解決を試みる予定であったが、欧米諸国の物価高のため予定より少ない回数しか渡航することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
南九州や琉球列島の追加調査に加え、マレーシアの海外調査を行う。また、これまでに本研究によって採集された同定が曖昧な個体や種については、昨年度から引き続き大規模な分子解析と国内外の博物館収蔵標本の比較検討によってより正しい種同定を試みる。正しい種同定に基づいた南日本(房総半島からか種子島まで)と琉球列島(屋久島から与那国島まで)の魚類相を明らかにし、大隅線の有効性を検証する。
|
Research Products
(89 results)