2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of functional dopamine neuronal subsets
Project/Area Number |
20H03549
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤山 文乃 北海道大学, 医学研究院, 教授 (20244022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅部 冬紀 北海道大学, 医学研究院, 助教 (60312279)
高橋 晋 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (20510960)
平井 康治 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (30648431)
和久 剛 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (40613584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ドーパミン / 大脳基底核 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病の原因は黒質緻密部のドーパミン神経細胞の変性脱落であるが、黒質緻密部のどのドーパミン神経細胞サブセットの変性脱落がパーキンソン病のどの症状を引き起こすのかはわかっていない。これまでの研究で、黒質緻密部のドーパミン神経細胞には共発現する遺伝子の違いなどにより、複数のグループに分類されることが知られている。また、応募者らを含む複数のグループの研究により、黒質緻密部のドーパミン神経細胞は、その領域ごとに不明瞭ながら近接した線条体領域へ投射するトポグラフィーを示すことがわかっているが、このような投射様式の違いと遺伝子発現の違いとを結びつける要因が何であるかはわかっていない。言い換えれば、多様性をもつ個々の神経細胞が機能的回路を形成する原理が解明されていない。本研究課題では、ドーパミン神経細胞の投射様式および電気生理学的特性と、遺伝子発現プロファイリングとの相関を明らかにし、機能的ドーパミン神経細胞サブセットを同定することで、大脳基底核回路の機能的解明と、パーキンソン病の病態解明、治療アプローチの可能性を探る。今年度は、中脳黒質のドーパミン神経細胞に経シナプスかつ順行性に運ばれるウイルスベクタとそれを注入するための条件検討を行なった。具体的には中脳の黒質緻密部にAAV1-hSyn1-EBFP-Creを注入し、線条体のどのニューロンにCreが運ばれたのかを検証した。AAV1ウイルスは当然順行性のみならず逆行性に運ばれうるため、線条体の投射ニューロンが標識された場合は、順行性に標識されたものか逆行性に標識されたものかの区別がつかない。しかし今回線条体のインターニューロンが標識されており、ドーパミン神経細胞の経シナプス標識が成功したことを確認できた。これまで世界的にもドーパミン神経細胞の経シナプス標識の報告はなく、この所見の更なる検証を重ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分担研究者の高橋教授と和久准教授の所属が同志社大学のため、ドーパミン神経細胞の遺伝子解析とシナプス部位の解析のために京都へ出張するはずであった。しかし、コロナ禍の影響で出張の日程調整が難航し、スムーズな共同研究が難しかった。このことが研究の進捗がやや遅れている理由である。また、半導体不足により電気生理学的解析に必要な実験機器の入手が難しかったことも主な理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
AAV1ウイルスは当然順行性のみならず逆行性に運ばれうるため、線条体の投射ニューロンが標識された場合は、順行性に標識されたものか逆行性に標識されたものかの区別がつかない。しかし現在までの実験で今回線条体のインターニューロンが標識されており、ドーパミン神経細胞の経シナプス標識が成功したことを確認できた。この実験を定量化し、実際に順行性に標識される確率を検討するとともに、標識されやすさの特性も検証する。また、コロナ禍により共同研究が難しい場合に備えて北海道大学で同志社大学と同様のセットアップを整える。
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Research Products
(11 results)