2021 Fiscal Year Annual Research Report
光学的科学調査を軸とした初期洋風画とアジア太平洋海域美術交通に関する基盤的研究
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21H00488
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 裕成 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (00243741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲頭 桂 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 主任研究員 (90590448)
志賀 智史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 室長 (90416561)
杉田 真菜 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, アソシエイトフェロー (70893105)
福島 修 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (50851375)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 洋風画 |
Outline of Annual Research Achievements |
16世紀は半ば以降の日本やアジアの各地をとりまく美術作品の交通は、従来考えられていたより遥かにグローバルなものであった。本研究はそうした動向を踏まえつつ、従来の南蛮美術論において強調されがちであった西洋からの影響の問題にとどまらず、多元化した交通網において生じた日本由来の美術のグローバルな移動と、各地の美術とのダイナミックな節合の過程に焦点を当てる。この目的に基づき、本年度は以下のような調査研究を実施した。 1)初期洋風画とその関連作品についての光学的科学調査: 「花鳥図屏風」(九州国立博物館所蔵 A104)について、X線透過画像の撮影、赤外線カメラによる撮影を行い、詳細な損傷地図を作成した。あわせて、熟覧により、図像、様式、技法、素材など作品研究に必要な情報の精査を実施した。 2)東京国立博物館蔵《桔梗蝶楓鹿蒔絵螺鈿聖龕》の科学調査とヴァーチャル復元: 《桔梗蝶楓鹿蒔絵螺鈿聖龕》(東京国立博物館所蔵 H-4473)の羽根モザイク聖画については、科学調査とヴァーチャル復元に向けての第一段階の作業として、高精細の写真撮影を行い、研究協力者であるメキシコの専門家と情報共有を図った。その上で、2年目に予定する招聘調査に向けた準備を進めた。また、聖龕部分の内部構造を確認するため、CT画像の撮影を行なった。 3)アジア太平洋のグローバルな交通と美術についての包括的研究: 光学的方法を軸とする作品調査の成果をふまえつつ、研究代表者・岡田と研究分担者・鷲頭は、それぞれ、スペインとその植民地の美術、日本近世美術の研究者としての専門性を生かし、アジア太平洋海域における美術の交通という、16世紀に出現したグローバルな文化交渉の環境が日本に何をもたらしたのか、また逆に、日本はその環境に対してどのように反応し何を提供したのか、その全体像について総合的な研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「花鳥図屏風」(九州国立博物館所蔵 A104)について、予定していたX線透過画像の撮影、赤外線カメラによる撮影を行い、詳細な損傷地図を作成した。あわせて、熟覧により、図像、様式、技法、素材など作品研究に必要な情報の精査を実施した。 《桔梗蝶楓鹿蒔絵螺鈿聖龕》(東京国立博物館所蔵 H-4473)の羽根モザイク聖画について、予定通り高精細の写真撮影を行い、研究協力者であるメキシコの専門家と情報共有を図った。その上で、2年目に予定する招聘調査に向けた準備を進めた。また、聖龕部分の内部構造を確認するため、CT画像の撮影を行なった。 アジア太平洋のグローバルな交通と美術について、 光学的方法を軸とする作品調査の成果をふまえつつ、研究代表者・岡田と研究分担者・鷲頭はそれぞれ、スペインとその植民地の美術、日本近世美術の研究者としての専門性を生かし、予定通り研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
作品の光学的科学調査については残る作業を順に進め、2024年度中の調査報告書作成に向け、データの分析などの作業を順次進める。羽根モザイク聖画のデジタル復元についても、メキシコの専門家と緊密に連携しつつ、必要な作業を進める。アジア太平洋のグローバルな交通と美術についての包括的研究については、予定した海外調査を実施し、最終報告書に向けた研究を行う。
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