2021 Fiscal Year Annual Research Report
奈良県の地域構造変容と部落問題に関する歴史的研究─地域構造分析・比較研究を通して
Project/Area Number |
21H00572
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The Institute of Buraku Problem |
Principal Investigator |
竹永 三男 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (90144683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 雅士 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (00876261)
中村 元 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20710346)
廣川 禎秀 (広川禎秀) 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (30047237)
藤本 清二郎 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (40127428)
坂井田 徹 (森下徹) 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (40529921)
塚田 孝 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 客員教授 (60126125)
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60380135)
鬼嶋 淳 専修大学, 文学部, 教授 (60409612)
本井 優太郎 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (60898013)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 部落問題 / 奈良県 / 地域構造 / 大字 / 近現代 / 比較分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①対象地域の合同巡見は、「コロナ禍」で北和地域巡見を中止したが、旧南葛城郡(現御所市域北部)で実施した。今回は全国水平社発祥の地旧掖上村柏原北方、旧大正村の中心大字(櫛羅・楢原)と水利構造施設、部落改善運動(西松本矯正会)・融和運動(大和同志会)の中心地旧大正村西松本、水平運動の中心地小林・鎌田を巡見し、地域景観・集落配置・水利施設等を確認するとともに、寺院文書調査、「奈良県風俗志」の新発見簿冊の撮影、御所市役所文書調査のための市長面談、担当部署との協議を行った。 ②本研究の基礎史料である奈良県内の地域史料調査、文書目録作成、主要文書の電子データの作成を系統的に進めるとともに、大正村大字楢原の水利関係文書(複写本)と水利関係文献、県内自治体史、研究課題に係る基本文献『近代日本の行政村』などを購入・共有したほか、「北原泰作文書」の再検討を進めた。また、比較研究対象である大阪近郊地域について自治体史をもとに奈良県との比較考察を行うとともに、埼玉県南西部の大井地域で大井医院・大島慶一郎関係資料の再調査を進め、奈良民医連関連史料を確認・抽出した。 ③本科研の主題である奈良盆地の地域構造とそこで展開した部落差別撤廃運動の特質を検討することを目的とした報告「奈良盆地地域の部落改善運動団体と大字(旧村)・村─奈良県の地域構造と部落問題(1)」(竹永三男、第59回部落問題研究者全国集会歴史Ⅱ分科会)、多摩地域の歴史を地域史料に基づいて考察する講演「記録を残し、記憶を伝える-地域資料からひも解く国立のあゆみ」(高田雅士、国立市公民館地域資料講座)をそれぞれ行った。 ④以上の調査・研究成果を、部落問題の歴史的研究の視角と方法〔広川禎秀・大森実(研究協力者)〕、基礎史料の特長の分析とその研究(本井優太郎)、奈良盆地の地域構造と部落問題の実証分析(竹永三男)の論文として『部落問題研究』誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①「やや遅れている」と自己評価したのは、「コロナ禍」のため、年度前半・後半に各1か所計画していた奈良盆地の合同巡見が、感染が一時的に小康状態になった11月の1か所(旧南葛城郡=御所市域。感染防止のため2回に分けて実施)に止まったこと、初年度の計画としていた自治体行政文書・区有文書、奈良県立図書情報館所蔵の奈良県行政文書(県庁文書)等の継続調査が大きく制限されたこと、対面研究会の開催を自粛せざるをえなかったことによる。 ②但し、この間も、奈良県内在住の研究協力者の協力によって、奈良盆地地域の行政文書、部落問題と教育に関する個人文書、医療運動関係文書等の系統的調査と目録作成、デジタルデータの収集作業、関係史料・文献の購入による収集を進めた。それとともに、史料調査に必要な機器の購入整備、研究会のオンライン開催のための機材の購入整備を進めることにより、研究期間を通して安定して共同研究を推進できる環境を整備した。その結果、zoomを利用した研究例会や研究打ち合わせのオンライン開催を円滑に進めることができた。 ③また、「研究計画調書」で研究目的として掲げた鈴木良の地域社会構造論研究の視角と方法を今日の時点で再検討した論稿を発表し(広川禎秀・大森実)、部落解放運動史研究の基本史料の一つである「北原泰作文書」の再検討を進めて新たな分析を加えた論稿を発表し(本井優太郎)、大字に注目して奈良盆地地域の地域構造と部落及び部落問題の関連を実証的に分析した報告を行ってその一部を論文として発表するなど(竹永三男)、本研究の出発点となる研究論文を発表し、これを共有した。 ④なお、研究組織を強化するため、戦後の地域社会における社会運動の研究を進めている富山仁貴を新たに研究分担者に追加した。 ⑤以上により、第2年度には、「今後の研究の推進方策」に記した共同研究、研究代表者・研究分担者の個別研究を着実に進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
①初年度に実施できなかった大和郡山市域を中心とした北和地域の合同巡見を、「コロナ禍」の収束状況の推移を見据えつつ実施し、住宅団地・工業団地の開発・道路整備等を主内容とする地域の変貌状況を実地に調査し、対象地域に関する認識の共有を図る。 ②主対象地域である奈良県に関する基礎史料を、奈良県立図書情報館所蔵の奈良県行政文書、御所市行政文書、大和郡山市行政文書について調査し、それらのデジタルデータの収集を進めるとともに、初年度に引き続いて地域史料の系統的調査・収集を進める。この課題の遂行は研究代表者が責任をもって研究分担者の参加を得た共同調査として実施し、奈良県内在住の研究協力者の協力を得て進める。 ③以上の共同調査・研究との関連を見据えながら、各研究分担者はそれぞれが「研究計画調書」に掲げた研究主題に即した史料調査と研究を進める。具体的には、戦前・戦後を通した地域の変容と部落問題の在りようの歴史的変化の見通しを検討すること(広川禎秀)、東京西郊の多摩地域の戦時・戦後の地域構造の変容を広域計画と地域政治、地域医療運動を軸に近畿圏-奈良県との比較において検討すること(中村元、鬼嶋淳)、奈良県の地域における歴史認識・歴史資料を多摩・国立地域との比較おいて検討すること(高田雅士)、大阪府・奈良県の教員組合運動の地域におれる展開を分析すること(森下徹)、戦後明石市の地域変容を神戸市との合併問題を対象として分析し奈良県の市町村合併過程と比較検討すること(本井優太郎)、奈良県の戦後の社会運動と地域社会の関連を分析すること(富山仁貴)、近世大和の賤民身分の研究の到達点を検討し、摂津・和泉・紀州など周辺諸地域と比較検討すること(塚田孝・町田哲・藤本清二郎)などである。 ④以上の調査・研究は、本科研研究例会、部落問題研究所歴史研究会で発表・検討し、順次学術論文として公表する。
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Research Products
(7 results)