2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on the Transformation of "Familialistic Regime"
Project/Area Number |
21H00683
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
加藤 雅俊 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10543514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 正顕 東北大学, 法学研究科, 教授 (30328992)
堀江 孝司 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70347392)
伊藤 武 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70302784)
筒井 淳也 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90321025)
李 蓮花 東京経済大学, 経済学部, 教授 (30373038)
千田 航 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80706747)
崔 佳榮 駒澤大学, 法学部, 講師 (30816989)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 家族主義レジーム / 比較福祉国家 / 家族政策の変遷 / 因果的背景 / 量的比較 / 過程追跡 / 比較事例分析 / 福祉国家論の理論的刷新 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次世界大戦後の社会的保護において家族福祉に依存してきたとされる「家族主義レジーム」諸国を対象に、家族政策の変遷に注目して、過程追跡と量的比較という研究手法を用いることで、その多様性や動態およびその因果的背景を明らかにする。そして、国際比較で得られた知見を、学際的・多角的に再検討することで、比較福祉国家論の理論的刷新などの学術的貢献をなし、また今後の家族政策のあり方に関する展望を導くなどの社会的貢献をなす。 2022年度は、次年度以降に本格的に取り組む比較分析を実り豊かなものにすることを目的として、各国の家族政策の共通性と差異、および、それらを生み出したダイナミズムを捉えるための分析概念を設定するための作業を行った。具体的には、外部研究者を招聘した研究会をはじめ、家族政策や比較福祉国家分析の最新業績を批判的に検討する機会を複数回開催し、「家族主義」概念の可能性と課題を検討した。また、共同研究の対象国である日・韓・台・中・豪・伊・仏・スペイン・ポルトガルにおける福祉レジームの動向に関して情報共有と意見交換を行い、戦後の社会的保護のあり方を捉えるうえで「家族主義レジーム」概念が有効である一方で、近年の動向を捉える上では既存の「家族主義」概念では不十分であることを確認した。言い換えれば、エスピン-アンデルセンの「福祉レジーム」論では十分に捉えきれない南欧諸国や東アジア諸国の特徴を理解する上で、精緻化は必要であるものの、「家族主義レジーム」概念は意義を持つが、近年の分岐を捉えるためには「家族主義」概念そのものの見直し・再検討が不可欠である。 以上のように、2022年度は、次年度以降の比較分析の準備作業(分析概念の設定)に力点をおいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行により、対面での研究会の開催が難しくなり、オンライン開催で代替してきたが、メンバー間での緊密な交流ができなかったことに加えて、研究代表者が新型コロナウイルス感染症に罹患してしまい、研究計画時に予定していた海外調査の実施を急遽延期せざるを得なくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、新型コロナウイルスの流行も落ち着きを見せていることをふまえて、対面で定期的に研究会を開催することにしたい。具体的には、各メンバーが分析対象とする諸国に関する近年の家族政策の動向に関して情報共有を行い、それらの知見をふまえて、「家族主義」および「家族主義レジーム」概念を精緻化する作業を進めていきたい。 また、分析対象とする諸国の実体を明らかにするために現地を訪問し、政策担当者や現地研究者に聞き取り調査を行い、現地での議論状況や最新情報を得たい。
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