2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H00810
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
石井 剛志 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (50448700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 裕香 (富山) 神戸学院大学, 栄養学部, 実験助手 (20368484)
赤川 貢 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70405356)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔内リセット作用 / 渋味飲料 / 油脂 / 茶ポリフェノール / ガレート型カテキン類 / テアフラビン類 / バリア機能 / レプチン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内リセット作用の評価系(嗜好飲料→油脂)を構築し、渋味飲料による脂っこさのリセット作用を評価するための基盤技術の確立を目的に研究を進めた。 口腔内の細胞表面モデルとして人工リン脂質膜がコーティングされた96穴プレートを用いる渋味の評価法(先行研究)を改良し、嗜好飲料中のポリフェノール等がリン脂質膜表面に残存した際の油の付着性やポリフェノールの残存量を評価できる実験系を構築し、口腔内リセット作用を評価した。その結果、緑茶や紅茶等の渋味を呈する茶系飲料が「脂っこさのリセット作用」を備えていること、油脂やタンパク質が「渋味のリセット作用」を備えていることを確認した。食品用清澄剤によりポリフェノールを除去した茶系飲料ではリセット作用がキャンセルされたこと、渋味を呈するポリフェノールのみがリン脂質膜表面に蓄積しリセット作用を惹起することから、「脂っこさのリセット作用」には渋味物質が重要な役割を担うことを示した。得られた成果の一部は学会にて発表した。 「脂っこさのリセット作用」を茶に含まれる成分により評価した結果、茶ポリフェノールのうち、ガレート型カテキン類やテアフラビン類の前処理によってリセット作用が確認されたこと、その際に茶ポリフェノールのリン脂質膜表面への蓄積が確認されたことから、リン脂質膜表面に先に蓄積した渋味物質(茶ポリフェノール)が後から来る油脂の付着を直接的に阻害することで「バリア機能」を発揮し、脂っこさのリセット作用が惹起されることを見出した。また、ン脂質膜表面へ蓄積した茶ポリフェノールは、におい成分と結合し揮発性を低下させることで「風味のリセット作用」を惹起する可能性を示した。得られた成果の一部は学会にて発表した。 培養細胞系におけるレプチン分泌促進作用の評価法(先行研究)を利用し、渋味強度との関連性の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り、口腔内リセット作用の評価系の構築に成功し、嗜好飲料のうち、緑茶や紅茶などの茶系飲料が「脂っこさのリセット作用」や「風味のリセット作用」を示すこと、油脂やたんぱく質が「渋味のリセット作用」を示すことを見出しいる。また、嗜好飲料→油脂の順で評価する実験系では、バリア機能により油脂の付着やにおい成分の揮発性を抑制する可能性を見出しており、次年度の目標を進める段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した評価系(脂っこさのリセット作用・渋味のリセット作用・風味のリセット作用)を用いて、各種嗜好飲料の口腔内リセット作用の作用機序の解明を進めるとともに、乳化作用を指標とする新たな評価系を用いて多角的な解析を進めることで、嗜好飲料と料理の食事相性の分子科学的検証を進める。生体調節機能の観点から、特に渋味飲料のよるレプチン分泌促進作用を介する抗肥満作用の検証を進めていくが、本検証において動物実験を担当する共同研究者の所属機関が変更されたことにより設備等の移設が遅れる可能性があることから、研究代表者を中心に培養細胞を用いた渋味強度とレプチン分泌作用の関連性の検証を進めていく。
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Research Products
(6 results)