2021 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害幼児に対する「読み聞かせ」の指導スキル確立に関する実証的研究
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21H00883
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
左藤 敦子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90503699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 和史 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (20528640)
武居 渡 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70322112)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 聴覚障害 / 特別支援学校(聴覚障害)幼稚部 / 絵本 / 発達段階 / 読み聞かせのスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、絵本の読み聞かせに焦点をあてて、より効果的な読み聞かせん活動の指導スキルをエビデンス化し、言語発達初期段階にある聴覚障害児幼児に対する絵本の読み聞かせ活動の特徴を実証することを目的としている。本年度は、主として、絵本の聞かせに対する教員の意識と、実践に際しての工夫および配慮点を明らかにするためのインタビュー調査・質問調査の策定を目的として、経験豊かな教員を対象とした探索的調査ならびに教育活動の実地調査を行った。これらの調査より、特別支援学校(聴覚障害)幼稚部における絵本の扱いについて、絵本読み活動は「毎日」あるいは「週に2回から3回」の頻度で実施されており、絵本を扱う活動1回の時間数は「15分から30分」であることがうかがえた。また、絵本の選択や文章の読み方などの絵本の扱いは、年齢段階および発達段階に応じて異なることが示唆された。また、絵本の文章の読み方については「できるだけ文章をそのまま読みあげる」という教員は少なく、「書いてある文章を読みあげながら手話でも伝えている」「書いてある文章にはこだわらず、内容を子どもがわかることばや方法で伝える」など、扱う絵本の特徴や読み聞かせの対象となる子どもの実態、読み聞かせの目的などに応じた読み方で、絵本読み活動を行っている実態が浮き彫りとなった。さらに、絵本の読み聞かせ活動が重要な活動であるという意識とともに、「子どもの集団の発達差がおおきいときに絵本のねらいをどこにおくか」「音声と手話をどのように使っていけばよいのか」「一般の保育活動でも行われている素話を、どのようにとりいれたらよいのか」などの課題も指摘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に引き続き、令和4年度においても、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止等に関連する対応をはじめとし、学校現場の業務多忙が続いていることが予測および感染拡大防止の対策のため、特別支援学校(聴覚障害)幼稚部における教育実践の参観および実地調査が十分に行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
探索的調査で示された知見をふまえて、絵本の聞かせに対する教員の意識や配慮を明らかにするためのインタビュー調査および質問調査を行い、分析を進めていく予定である。特に、聴覚障害幼児に対する絵本読み聞かせの特徴が明確になるように、特別支援学校(聴覚障害)幼稚部の教員とともに、保育園や幼稚園などの教員も対象として調査を展開していくように検討したい。さらに、読み聞かせを実施している教員の視線の特徴を検討するための事前準備も整いつつあるため、データ収集を順次進めていく予定である。
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