2021 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔駆動式マニピュレータの手先性能を最適化する液圧パワートレインの設計原理の解明
Project/Area Number |
21H01297
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
玄 相昊 立命館大学, 理工学部, 教授 (30344691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 勇一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10547433)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロボット / 油圧回路 / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
過酷な作業現場で長時間の器用な力仕事を行うマニピュレータの性能を高めるにあたり、駆動源を手先から離して置ける液圧駆動(水圧や油圧駆動)が有望である。本研究は、大小容量の各種ポンプとバルブをマトリクスで有機的に複合した液圧回路によって、手先の性能を最適化することを目的としている。具体的に、手先が発揮できる力と速度の大きさ、分解能、動特性にフォーカスした液圧複合回路の構成法を明らかにし、その能力を最大限に活かす制御アルゴリズムならびにアクチュエータ配置方法を理論的に導くことがゴールである。
初年度は代表者らが過去の科研費プロジェクトで提案した増圧型の液圧複合回路(H2SB)をベースに、多軸化を念頭に置いたシステム要素の選定と回路構成をシミュレーションを用いて検討した。サーボ弁をシリンダーに直結することで、最終段での高応答な方向切替と絞り機能を確保したうえで、サーボ弁内で無駄な絞り捨てが生じないよう、マトリクスの出力流量と圧力を制御する回路形態を検討した。マトリクスの「節」に配置するバルブについては、単純なOn/Off弁とした。
検討を重ねた結果、On/Off弁と共通流路を備えた新しい「モジュラー油圧回路」を発明し、2軸シリアルマニピュレータをターゲットにした制御アルゴリズムを導出することができた。実際に油圧回路を構成し、保有するロボットマニピュレータに適用した結果、手先位置軌道追従制御実験において有効性を証明することができた。出版実績は特許出願1件、国際会議論文2件、国内学会発表2件である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は回路の検討に時間がかかると予想したが、応用範囲の広い基本回路が考案できたことは幸運であった。油圧の「合流・分流」という機能を活かした、マニピュレータに好適な新しい回路が生まれつつある。 新しい回路は「Modular Hydraulic Servo Booster(MHSB)と名付けた。 本年度は概念の提案と2軸までの実証実験を行ったが、現在、3軸への拡張設計を行っており、既にシミュレーションでは効果が確認されているので、具体的に油圧回路を構築すべく、メーカーと調整を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は回路の検討から実機実験まで一気に進んで多忙であったため、モデル化にエフォートを割く余裕がなかった。今後は新しい回路をN軸に拡張し、当初計画であげていた次の課題に取り組む予定である: 課題① マトリクスが達成し得る多軸流量・圧力制御の限界特性の解明 課題② 回路の操作入力からマニピュレータの手先に至るフォワードモデルの導出 これらは数理モデルの組み合わせにすぎないが、切換えが頻発するため、実機の挙動との整合性に注意が必要である。後の最適制御で扱いやすい形に整理する。 一方で、引き続き、新しい回路の模索も行う。こちらは研究の波及効果が高い。特に、マニピュレータのみならず、別プロジェクトで進行中の「モジュラー油圧ロボット」への適用へ視野を広げて検討を進める予定である。
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Research Products
(5 results)