2022 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔駆動式マニピュレータの手先性能を最適化する液圧パワートレインの設計原理の解明
Project/Area Number |
21H01297
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
玄 相昊 立命館大学, 理工学部, 教授 (30344691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 勇一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10547433)
織田 健吾 立命館大学, 理工学部, 助教 (10965776)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロボット / 油圧回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
過酷な作業現場で長時間の器用な力仕事を行うマニピュレータの性能を高めるにあたり、駆動源を手先から離して置ける液圧駆動(水圧や油圧駆動)が有望である。本研究は、大小容量の各種ポンプとバルブをマトリクスで有機的に複合した液圧回路によって、手先の性能を最適化することを目的としている。具体的に、手先が発揮できる力と速度の大きさ、分解能、動特性にフォーカスした液圧複合回路の構成法を明らかにし、その能力を最大限に活かす制御アルゴリズムならびにアクチュエータ配置方法を理論的に導くことがゴールである。 昨年度は「モジュラー油圧回路(MHSB)」を新たに考案し基本的な動作確認に成功したが、本年度は3つの成果を上げることができた。 1.組立分解が可能なロボット;モジュラー油圧ロボットへMHSBを適用すべく検討を行った。3軸マニピュレータの実機の整備を行うとともに、圧力サーボを内部に含むカスケード制御にトライし、制御系全体を改善した。 2.マトリクスが達成し得る流量・圧力制御の限界特性の調査、ならびに操作入力からマニピュレータの手先運動までのフォワードモデルの導出を行い、同時に市販ソフトウェアを用いたシミュレータを構築してモデルの妥当性を検討した。また、ロボットの状態を駆動ユニット側のセンサ情報から推定する状態推定法にも取り組み、光ファイバセンサを併用する方法を提案した。 3.MHSBから着想を得て、従来の液圧駆動のマスタースレーブ方式のモジュラー化を検討した。当初想定していなかった方法であるが、ポンプがマスタシリンダに置き換わっただけで、本研究の中でトライする価値があると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.当初計画していたポンプ・バルブマトリクスの実現の一つであるMHSBの有効性が確認され、回路実現(駆動ユニット構築)方法を特定することができた。
2.MHSBの数理モデルが導出でき、シミュレータが完成した。現在、モデルベース最適制御を導出すべく、調査を行っている段階である。
3.モジュラーHSTの1軸のモデル化と試作を完了し、基本的な位置制御実験を達成した。現在、水圧マニピュレータへの適用を目指した初歩的なシステム設計を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況を受けて、来年度は以下3つの課題に取り組む: 課題1.通常のマニピュレータへの接続と、モジュラーロボットへの組込みという2つの方向性で理論性能を調査しつつ、メーカーの協力を得ながら新たなハードウェアを構築する。 課題2.新たな回路の可能性を検討しつつ、MHSBの最適制御(モード切替を伴う最適制御やモデル予測制御)ならびに状態推定法に取り組む。 課題3.モジュラーHSTは、カナダのグループが同様の発想で研究発表をしていることが確認されたため、当方のシステム構築を急ぎ、学会で議論することを目標とする。
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Research Products
(2 results)