2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reach-scale sediment dynamics measurement in a gravel-bed river during small floods
Project/Area Number |
21H01432
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
椿 涼太 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80432566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 祐嗣 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60301173)
尾花 まき子 中部大学, 工学部, 准教授 (10447831)
赤堀 良介 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50452503)
川村 里実 (山口里実) 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (70399583)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 礫河川 / 中小洪水 / 土砂動態 / 時系列 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道を流れる十勝川水系札内川をフィールドとし,6月に実施されたダムからのフラッシュ放流にあわせて,ハイドロフォンと圧力変動計測装置・Spheraの二つの計測装置を一セットとして河道内の三箇所に配置して,フラッシュ放流中の土砂移動と河床近傍での圧力変動のデータを取得した.このフィールドでは,粗粒化は進行しておらずフラッシュ放流を含めた中小出水でも,一定の土砂移動がおきている.河川管理者が工区設定を行って継続的に河川環境調査を実施しており,人為的攪乱として水路掘削が行われた工区を中心とした調査を行った. 現地計測では,地点毎に,ハイドロフォンで取得される2チャンネル (Ch), 96 kHzの圧力変動データ,圧力変動計測装置・Spheraにより得られる3 Ch, 50 Hzの圧力変動データを取得した.2019年から2022年まで4年分のフラッシュ放流に合わせて実施した現地計測結果をもとに,また河川管理者により実施された測量結果も参照しつつ,掘削水路の河床変動と土砂移動状況の分析をおこなった.その結果,水路掘削の直後は河床形状が安定しておらず,局所的な堆積や洗掘が生じていたが,近年は掘削水路の内部はフラッシュ放流中には動的平衡に近い状態であり,大きな河床変動が生じていないことは確認された.一方で,主流部との接合部では河床変動が継続しており,掘削水路でおきる今後の河床変動を検討する上での留意点となっていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地計測で得られた圧力変動データから,底面せん断応力以外の情報を抽出するための基礎検討を行うために,数値計算結果と水理実験を用いて,Spheraを含む粗面流れを再現し,Spheraで計測する底面圧力と乱流の関連の検討を進めた. 水理実験では,実河川の礫河床を水路内で再現して通水し,Particle Image Velocimetry (PIV)により,流速分布を取得しつつ,現地調査でも使用するSpheraにより圧力データを取得した.数値計算では水理実験を,大規模な乱流を直接解像するLarge Eddy Simulationを用いて再現した. 流速分布について水理実験のPIVで得た平均流速分布と,LESによる平均流速分布を比較して,LESにより十分実験の流速分布が再現できることを確認した.続いて,数値計算で再現したSpheraで計測される底面圧力と,内部の圧力や流速の相互相関の空間分布を把握して,底面圧力から流況を把握できる空間的な範囲を明らかにした.一方,実験結果からSpheraによる圧力とPIVによる流速の相関関係について,はっきりとした関係は確認することはできなかった.これは,水理実験ではPIVの流速とSpheraによる底面圧力の計測の同期が不十分であったことが要因と考えられるため,水理実験でのPIVとSpheraの時刻の同期方法について改善が必要と考える. 底面圧力が大きいとき・平均的なとき,小さいときという三つの条件毎にLESで得られた流速分布を整理して,圧力の大小に応じたセンサ周りの流況を把握することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの現地調査により,ハイドロフォンの機器浸水が2割程度発生して,データ欠測が生じていた.ハイドロフォンの耐久性の向上をはかり,現地計測での欠測防止を図る.また,Spheraのセンサ周りを金属ワッシャーとコンクリートで覆っていたが,フラッシュ放流による土砂移動で著しい摩耗が生じ,センサ周りの変形により取得データが不安定となっていた.コンクリートの素材変更等により耐摩耗性能を向上し,機器の耐久性とデータ取得の安定性の向上をはかる. 数値計算結果と水理実験を用いて,Spheraで計測する底面圧力と乱流の関連の基礎的検討をさらに進める.さらに,その検討結果をもとに現地計測データの分析を進めて現地河川でおきている流れ・土砂移動・河床変動の相互作用の分析に展開する.すなわち,現地計測結果から,地点毎の土砂移動形態の類型化と,河道網にそったリーチスケール土砂動態の時系列変化として整理する.ここで時系列とはフラッシュ放流の水位上昇期~ピーク期~水位降下期という意味合いだけでなく,経年的な変化も追跡する. これらの過去に現地で起きた現象の検討結果を踏まえつつ,フラッシュ放流の放流水量を削減しつつ攪乱効果の発揮を狙う方策を提案することを狙う.
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