2021 Fiscal Year Annual Research Report
Glycerophosphocholine as a choline supplement- functions, absorption and application-
Project/Area Number |
21H02139
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢中 規之 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (70346526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 力 福島大学, 食農学類, 教授 (40372198)
大久保 剛 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (40513172)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | glycerophosphocholine / choline / trimethylamine N-oxide / trimethylamine / GDE5 |
Outline of Annual Research Achievements |
choline供給の栄養素材としてglycerophosphocholine(GPC)に着目し,長期摂取試験,および経口投与試験を行い,血中のcholine代謝物量,特にTMAO量についてcholineとの比較解析を行った。GPC食群における血中GPC濃度の持続的な上昇が認められた。一方で,choline食群における血中choline濃度の有意な上昇が認められた。choline食群,およびGPC食群において血中TMAO濃度が持続的に上昇しており,GPC食群において有意に高かった。500mg/kgを経口投与したGPC投与群における血中GPC濃度の速やかな上昇が認められたため,摂取したGPCは血中に直接移行する可能性が示された。GPC投与群における血中choline,およびbetaine濃度はcholine投与群と比較して有意に低く,またcholine投与群と比較してGPC投与群において血中TMAO濃度は有意な高値を示した。低容量(100mg/kg,および20mg/kg)での投与試験を行った結果,血中TMAO量は,citicolineにおいても同程度の蓄積効果が認められ,一方,血中TMAO濃度の有意な差は認められなかった。 腸管上皮細胞特異的にCreタンパク質を発現するVillin-CreマウスとGDE5fl/flマウスとの交配により腸管上皮細胞特異的GDE5欠損マウス(GDE5KOマウス)の作製を完了した。GDE5遺伝子の発現解析を行ったところ,GDE5KOマウスの大腸,および小腸においてGDE5の発現量が野生型と比較して低下しており,GDE5KOマウスが腸管上皮細胞特異的GDE5欠損モデルとして利用可能であることを確認した。さらにGPC高含量酒粕を探索することを目的として,本醸造,純米酒,吟醸酒など精米歩合や仕込みなど製造法の異なる清酒粕を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPCを摂取後、消化管より直接吸収され、血中のGPCは持続的に高濃度になることが示唆されため、脳内へのcholine供給において有用であることが示された。一方、GPCを長期摂取、あるいは経口で単回投与した際には血中TMAO量が蓄積しやすい可能性が示唆され、GPC摂取ではTMAOの基質であるTMAの腸管内での生成量が高い可能性が考えられた。一方低用量での投与ではTMAO濃度に差がないことなど、GPCの栄養素材としての特性を明らかにした。 GPCをcholineへ変換する酵素GDE5がGPCを摂取した際の血中TMAO量の蓄積に関与している可能性が示唆されたため,腸管上皮細胞特異的GDE5欠損マウス(GDE5KOマウス)の作製を完了し、大腸,および小腸においてGDE5の発現量が野生型と比較して低下しており,GDE5KOマウスが腸管上皮細胞特異的GDE5欠損モデルとして利用可能であることを確認している。さらにGPCなどの高含量酒粕を探索することを目的として,本醸造,純米酒,吟醸酒など精米歩合や仕込みなど製造法の異なる清酒粕を収集し、成分解析を行える状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスにGPC,choline,およびlecithinを各種投与量において経口投与し,血中のcholine代謝物量の解析を継続する。Vil cre+/-,GDE5 flox/floxマウス(腸管上皮細胞特異的GDE5欠損マウス)を用いて,GPC,choline,およびlecithinなどの経口投与を行い,門脈血,および静脈血,盲腸内容物,さらに各組織(消化管,肝臓,骨格筋)を摘出し,リン脂質や水溶性choline化合物などのcholine代謝物濃度を測定する。一方,choline欠乏食に基づく脂肪肝モデルを作製し,GDE5欠損マウスを用いてGPCの摂取効果を検討する(試験における対照は同腹産仔のVil cre-/-, GDE5 flox/floxマウスを用いる)。 ヒト消化管上皮細胞株Caco-2細胞をトランズウェル上で培養し,経上皮膜電気抵抗値を確認した後,管腔側の培養液にGPCを添加した際の側底側(血管側)培養液中のGPCやcholineなどのcholine代謝物濃度を測定する。さらにGDE5mRNAに対するsiRNAを導入した後も同様に,管腔側の培養液にGPCを添加した後の側底側(血管側)培養液中のGPCやcholineなどのcholine代謝物濃度を測定する。 2021度に引き続き,GPCなどの高含量酒粕を探索することを目的として,本醸造,純米酒,吟醸酒など精米歩合や仕込みなど製造法の異なる清酒粕について,GPC,およびcholineなどの含量の測定に着手する。ヒト摂取試験については,GPC の直接の経口摂取,あるいはGPC 高含量の酒粕摂取についての試験内容の慎重な議論を行い,ヒト臨床試験の準備を行う。
|
Research Products
(7 results)