2021 Fiscal Year Annual Research Report
Suncus Research for Elucidating the Genetic Mechanism in Postoperative Nausea and Vomiting
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21H02386
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 一郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10183972)
野口 英樹 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等), データサイエンス共同利用基盤施設, 特任教授 (50333349)
紺野 大輔 東北大学, 大学病院, 助教 (20876479)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 術後悪心嘔吐 / スンクス / 嘔吐中枢 / 次世代DNAシークエンサー / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後悪心嘔吐(PONV)の脳内のメカニズムは何であろうか?PONVは手術の不快な合併症の1つで,現代の医療でも完全に予防できない.この状況を打破するためにも基礎研究の必要性が高いが,頻用される実験動物のラットやマウスは嘔吐できないため,研究はあまり進展していない.そこで本研究では最も嘔吐する哺乳類とされるスンクスで,PONVの嘔吐中枢での細胞レベル,遺伝子レベルでの機序解明を行う.本研究では実際の麻酔診療でもっともPONVに遭遇する婦人科手術を念頭に,メスのスンクスに吸入麻酔下に下腹部の開腹手術を行い,このスンクスPONVモデルにおける脳の嘔吐中枢での細胞レベル・分子レベルの変化を明らかにする.消化管や前庭,あるいは脳からの嘔吐刺激情報を統合・処理しているのは延髄の孤束核(NTS)である.NTSからは副交感神経や運動神経系に情報が出力され,嘔吐行動が出現する.本研究ではこのNTSに着目し,オミクス解析を中心に詳細なメカニズムの検討を行う.初年度はスンクスNTSのすべての細胞1つ1つについて,およそ40,000種類のすべての遺伝子の発現(トランスクリプトーム)が,スンクスPONVモデルでどのように変化しているかを,単一細胞トランスクリプトーム解析(scRNA-seq)を用いて検討した.PONVとなったスンクスでは,NTSのアストロサイトでGfap遺伝子の変動が確認された.さらにオリゴデンドロサイトではMag遺伝子の発現変動も確認された.われわれの知見はグリア系細胞のNTSでのPONVへの関与を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は計画どおりに単一細胞トランスクリプトーム解析(scRNA-seq)を実施して有意な結果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年はスンクスNTSでデジタルPCRを用いてGfap遺伝子をはじめとしたいくつかのグリア系遺伝子の発現を定量して知見を補強したい.
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