2022 Fiscal Year Annual Research Report
The molecular mechanism of mechanotransduction in vascular homeostasis and disease
Project/Area Number |
21H02677
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山城 義人 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70751923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (00323618)
長山 和亮 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359763)
久保田 義顕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50348687)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メカノトランスダクション / 内皮間葉転換 / 血管リモデリング / 細胞外マトリクス / 低酸素応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管壁は様々なメカニカルストレス(血圧や血流による血行力学応力)に晒されながら、血管壁の恒常性を維持しており、その制御機構の破綻が血管病態発症の根本原因ではないかと注目されている。細胞が外力を感知し、応答する仕組み(メカニカルストレス応答)とそのシグナル伝達(メカノトランスダクション)は、細胞接着斑を介して細胞内に伝達されるが、その制御メカニズムの詳細は未だ不明である。本研究は、血管病態発生に起因する根本原理を、メカニカルストレス応答制御の視点から明らかにし、血管壁の恒常性維持と病態形成のメカニズムを理解することを目指す。 本年度は、研究計画(2)に該当する、血管狭窄の分子メカニズムについて重点的に解析を行い、論文成果を公表した(Yamashiro et al. Cardiovasc. Res., 2022)。具体的な内容として、レポーターマウスを用いた内皮細胞の系譜解析において、頸動脈狭窄時の新生内膜が内皮細胞の間葉転換(EndMT)に起因することを明らかにした。また、一般的に白血球マーカーとして知られるCD45が一過性に内皮細胞に発現する事を見出した。このCD45陽性のEndMTは、細胞間接着を維持したまま進行する、部分的な内皮間葉転換(Partial EndMT)であることを明らかにした。さらに、CD45陽性のEndMTは、低酸素によって誘導されることも明らかにしており、内皮細胞特異的にHif1aを欠損させると、新生内膜形成を抑制できる事を明らかにしている。加えて、細胞外マトリクスfibulin-4の内皮細胞の特異的な欠損が内皮間葉転換を促進すること、大動脈弁の肥厚を伴って大動脈瘤の悪化を促進することを報告した(Nguyen et al. JAHA., 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
内皮細胞の系譜解析により、頸動脈狭窄後の新生内膜が内皮細胞に由来することを明らかにした。CD45誘導の条件(低酸素)や、関連分子を同定し、成果を公表している(Yamashiro et al. Cardiovasc. Res., 2022)。加えて、細胞外マトリクスfibulin-4の内皮細胞の特異的な欠損が内皮間葉転換を促進すること、大動脈弁の肥厚を伴って大動脈瘤の悪化を促進することを報告した(Nguyen et al. JAHA., 2023)。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の途中で、所属期間の異動を伴ったため、研究環境の整備体制はやや遅れているが、研究計画は順調に進んでおり、論文投稿や派生した複数のプロジェクトを進行している。低酸素によって誘導される転写因子やnon-cording RNAなどの網羅的な探索と共に、部分的な内皮間葉転換(Partial EndMT)の分子メカニズム解明を試みる。また、研究計画(1)の血管圧負荷における、Thbs1-YAPの標的分子同定にも注力し、論文投稿の準備を進める。
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