2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Novel Neuromodulation Targeting the Neural Basis of Autism Spectrum Disorders
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21H02813
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野田 賀大 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (20807226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 振一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383866)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 非侵襲的経頭蓋磁気刺激法 / TMS脳波計測 / 新規TMS療法開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は自閉スペクトラム症患者のリクルートをADOS-2(The Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition)を用いて、積極かつ厳密に行い、計30名の被験者に対して、自閉スペクトラム症の神経基盤の同定を行うことを当面の目的とし、経頭蓋磁気刺激法(TMS)と高精度脳波計測(EEG)を組み合わせたTMS-EEG法による神経生理学的評価を進めて行った。特に自閉スペクトラム症患者の前頭前野における神経生理指標を網羅的に計測し、現在GABAB受容体介在性神経生理機能を反映した生理指標である長間隔皮質内抑制(Long-inerval intracortical interval: LICI)の解析を行った。現時点での予備的解析では、自閉スペクトラム症患者では健常者と比べ、前頭前野のGABA機能が相対的に低下している可能性が示唆された。
さらに、本研究では同一被験者に対して、高精度MRI計測も行っており、2021年度は特にMRスペクトロスコピーによるグルタミン酸神経代謝物質濃度およびGABA濃度の計測を行った。 今後は神経生理学的機能やMRS以外のマルチモーダルMRI神経画像(構造解析・機能的結合性・構造的結合性)についても様々な角度から解析していく予定である。
上記の様々な生物学的指標と臨床指標を組み合わせた多変量解析を行うことで、自閉スペクトラム症に特有の特徴量を同定し、今後のニューロモデュレーション開発における治療ターゲットの選定に役立てたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は「自閉スペクトラム症の神経基盤を標的とした新規ニューロモデュレーション治療法の開発」であるが、まずは自閉スペクトラム症患者の神経基盤を明らかにしつつ、その中でも経頭蓋磁気刺激法によりアプローチできる脳部位を同定していくことを2021年度の目標とした。その意味において、2021年度には計30名の自閉スペクトラム症患者のリクルートを達成することができ、それらの被験者に対して、TMS-EEG-MRI計測を包括的に行うことができた。今後はそれらのデータを網羅的に解析していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はTMS-EEG-MRI計測で得られたデータをさらに詳細に解析していき、自閉スペクトラム症の神経基盤となる脳部位および機能を同定していく方針である。そのような脳部位を同定した上で自閉スペクトラム症に対する新たな治療ターゲッティング法の開発を合わせて行っていきたいと考えている。今後は様々な生物学的指標と臨床指標を組み合わせた多変量解析を行うことで、自閉スペクトラム症に特有の特徴量を同定し、今後のニューロモデュレーション開発における治療ターゲットの選定に役立てたいと考えている。有望な結果が得られた場合には、特定臨床研究として正式に申請していく予定である。
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