2022 Fiscal Year Annual Research Report
PET imaging for cancer treatment inducing ferrotosis
Project/Area Number |
21H02858
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
小川 美香子 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20344351)
平田 健司 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431365)
水野 雄貴 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (90805194)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線 / 核医学診断 / PET / フェロトーシス / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、フェロトーシスと呼ばれる新しい細胞死様式が報告され、フェロトーシスを誘導する薬剤が新たながん治療薬として注目されている。このフェロトーシスの進行には、トランスフェリン受容体1 (TfR1) が深く関与することが知られている。そこで本研究では、TfR1を標的とした新たなPETイメージング剤を開発し、フェロトーシス誘導剤の治療効果予測/判定に有効なイメージング技術を確立することを目的とした。 令和4年度は、cystine dense peptideの1種であるTfRB1G3を母体としたPETイメージング剤の開発を進めた。TfRB1G3は、大規模スクリーニングによって見出された51アミノ酸残基から成るペプチドであり、内因性リガンドであるトランスフェリンをも上回るTfR1結合親和性を有することが報告されている。一方、HBED-CCはGaに対する優れたキレーターであり、温和な条件下でも高い比放射能で68Ga標識体を与えることが知られている。そこで本年度は、クリックケミストリーを用いてTfRB1G3にHBED-CCを導入し、得られた標識前駆体 (HBED-CC-TfRB1G3) の68Ga標識反応と、68Ga標識TfRB1G3のTfR1への結合親和性と選択性を評価した。 HBED-CC-TfRB1G3の68Ga標識反応は室温で速やかに進行し、放射化学的収率は90%以上であった。得られた68Ga標識TfRB1G3を用いてTfR1過剰発現細胞株であるT98Gへの取込みを評価した結果、91.3%Dose/mg proteinの集積を示した。また、siRNAを用いてTfR1をノックダウンした細胞を用いて同様の実験を行ったところ、取り込み量は5.7%Dose/mg protein まで減少し、68Ga標識TfRB1G3がTfR1への優れた親和性と選択性を有していることを認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初TfR1リガンドとしての使用を予定していたDT7ペプチドはTfR1への親和性が十分でなく、TfR1リガンド候補の変更を余儀なくされた。一方、新たに候補化合物として選択したTfRB1G3は、期待以上に高いTfR1への親和性と選択性を有していることが明らかとなった。また、予試験的検討ではあるが、腫瘍移植モデルマウスを用いた体内動態試験においても、68Ga標識TfRB1G3がTfR1特異的に腫瘍に集積したことを示唆する結果が得られている。以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の細胞取り込み実験から、68Ga標識TfRB1G3はTfR1への高い親和性と選択性を有していることが示された。そこで令和5年度は、in vivoにおいても68Ga標識TfRB1G3が腫瘍のTfR1発現量を反映した取り込みを示すかを評価する。具体的には、TfR1高発現細胞株 (T98Gなど) と低発現細胞株 (A-498など) の腫瘍移植モデルマウスを作製し、68Ga標識TfRB1G3の集積量とTfR1発現量の比較を行う。また、腫瘍の凍結切片を作製し、オートラジオグラフィと免疫染色を行うことで、68Ga標識TfRB1G3の腫瘍内でのミクロな分布が、TfR1の分布と一致するかを明らかにする。 次に、TfR1発現量の異なるがん細胞への68Ga標識TfRB1G3の集積量と各細胞株のフェロトーシス誘導剤に対する感受性を比較することにより、68Ga標識TfRB1G3の細胞集積がフェロトーシス誘導予測の指標となるかを検証する。これらの実験結果から、In vivoにおいても同様に、68Ga標識TfRB1G3の腫瘍集積量が、フェロトーシス誘導剤を用いた治療効果予測に有用な指標となるかを明らかにする。更に、がんの治療効果予測/判定においてその有用性が広く認められている18F-FDGを用いて同様の実験を行う。これらの検討を通じて、フェロトーシス誘導剤の治療効果予測/判定におけるTfR1イメージングや糖代謝イメージングの意義と限界を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(2 results)