2021 Fiscal Year Annual Research Report
A novel treatment for REBOA complications: Hydrogen gas inhalation therapy to alleviate oxidative stress due to ischemia-reperfusion injury
Project/Area Number |
21H03029
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松村 洋輔 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (00466707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 敬 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20445258)
伊澤 祥光 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90565699)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | REBOA / 水素吸入 / 虚血再灌流傷害 / 大動脈遮断 |
Outline of Annual Research Achievements |
出血性ショックに対する蘇生手段であるResuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA)は,動脈性出血の制御と中枢臓器灌流維持を可能とする低侵襲な大動脈遮断法である.しかし遮断解除後に続発する虚血再灌流障害 (Ischemia-reperfusion injury, IRI) による酸化ストレスで,多臓器不全を惹起し死亡することもある.REBOA後のIRI (Post-REBOA IRI) による酸化ストレスに対する有効な治療が望まれている.一方,心停止後症候群や出血性ショックでの酸化ストレスに対する水素ガス吸入療法の有効性・安全性が報告されている.本研究の目的はPost-REBOA IRIによる酸化ストレス軽減のための新規治療法として水素ガス吸入療法を確立することである. これまでに,本研究の倫理審査承認取得および,研究チームメンバーとの実験計画の共有および外科手術手技の習熟,実験モデルの確認を行った.安全に全身麻酔下に外科手技を行い,水素吸入を行うという本研究の核となる研究の技術的な再現性は十分確認しえた.また,実験動物の腸管虚血が進行していくことを病理学的に観察するために,経時的に複数の腸管検体を採取して,その肉眼および病理学的評価を行った.複数回のモデル検証実験により切除部位・頻度の妥当性を評価した.さらに,臨床における腸管虚血評価で頻用される造影CTを撮影して,病理所見と画像所見の対比を可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに,実験モデルおいて安全に全身麻酔下に外科手技を行い,水素吸入を行うという本研究の核となる研究の技術的な再現性は十分確認しえた.今後の研究推進予定は細部にわたって具体的に計画できている.順調に実験遂行ができれば順調にデータ収集は可能である.上記を鑑み『2』を選択した.感染症蔓延状況にあわせて研究を遂行していくことで実験継続困難となるほどの遅延はないと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,前述した目的を達成するために水素ガス吸入がPost-REBOA injuryの酸化ストレスを抑制することを,バイオマーカー・病理組織評価・生存期間により明らかにする予定である.全身麻酔下の実験ブタにREBOAによる大動脈遮断(遮断強度100%)を最大120 分行う.大動脈遮断開始をT=0 として,REBOA遮断中やおよび遮断後に経時的に血液検体を採取し血液ガス分析,乳酸値を評価する.さらに,開腹して腸管を肉眼的に繰り返し観察できるようにして,規定の採取部位から予備実験結果に基づき,経時的な腸管切除標本を採取する.実験終了前に造影CT撮影を行い,バイオマーカー・CT所見・病理所見すべての側面から腸管虚血強度を評価する.なお炎症性サイトカインや酸化ストレスマーカー測定のための血漿・血清は毎回の実験で凍結保存し,検体蓄積の後に一斉に測定する予定である. 前年度はかねてからのコロナ禍によって予定通り実験を行うことができないこともあり,今年度以降もその危険性はあるために,感染状況に応じて研究可能な状況のときは,できるだけ実験回数を短期間に集中して行う予定である.
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